健康保険証の来秋廃止、首相きょう表明へ 国民の理解得られると判断

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マイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」への移行をめぐり、岸田文雄首相は現在の紙の健康保険証を予定通り来年秋に廃止する方針を固めた。12日の「マイナンバー情報総点検本部」で表明する。マイナンバー制度をめぐるトラブルが相次ぎ、廃止の判断をいったん留保していたが、点検のメドが立ったことで国民の理解を得られると判断した。

マイナンバー制度のトラブルと対策

12日の総点検本部で、トラブルの全体像と再発防止策も示される。首相は健康保険証の廃止について、これまで「国民の不安払拭(ふっしょく)のための措置を完了することが大前提だ」と述べていた。

マイナンバー制度をめぐっては今春以降、公金受取口座や健康保険証の情報が別人のマイナンバーにひもづけられるなどのトラブルが続出した。6月初旬に紙の保険証の廃止を定めたマイナンバー法や関連法の改正法が成立したが、その後も子どものマイナンバーに親の口座情報を登録する「家族口座」の問題などが相次いで発覚した。

政府は12日の総点検本部で、相次ぐトラブルを受けた総点検結果を取りまとめた。デジタル庁によると、点検対象8208万件のうち8206万件で本人確認が終了。別途確認された健康保険証のひも付け誤り7553件と合わせると、全体で約1.6万件のミスがあった。
ひも付け誤りの内訳は
▽健康保険証1142件(別途確認7553件)
▽公金受取口座1186件
▽障害者手帳5645件
▽共済年金119件
▽生活保護情報22件
など。
一方、総点検とは別に、政府がマイナ保険証の情報と住民基本台帳を照合したところ、氏名などが一致しないケースが約139万件に上った。このうち、ひも付け誤りは450件程度と推計され、来春をめどに確認作業を終える予定としている。

マイナ保険証の利用率と不満

岸田文雄首相は12日夕、マイナンバー情報総点検本部の会合で、従来の方針通り健康保険証を来年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に移行する方針を正式に表明した。
岸田首相は「マイナンバーカードはデジタル社会における公的基盤だ」と強調。「国民の不安払拭のための措置を踏まえ、予定通り、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する」と述べた。
ただ、マイナカードの取得率はマイナポイントの付与によって72.8%(11月末時点)となったものの、マイナ保険証の利用率は約4.5%(10月)と、6カ月連続で減少。

医療現場でのトラブルも相次ぎ、現行の保険証を廃止する環境が整ったとは言い難く、利用者や医療現場から不満の声が上がっている。
政府はこのため、健康保険証の廃止後も、最長1年は継続使用できる猶予期間を設ける方針。
さらに、マイナ保険証がなくても保険診療が受けられる証明書類を相次いで発行する。
保険証代わりとなる「資格確認書」、高齢者や障害者ら暗証番号の設定や管理に不安がある人を対象に暗証番号が不要な「顔認証マイナンバーカード」をそれぞれ発行。

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