中国で拘束されていた北海道大学教授、無事解放される。ウイグル人の行方不明事件とは別?

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北海道大学の教授が中国・北京で中国治安当局に拘束される

北海道大学・法学研究科の岩谷將(いわたに のぶ)教授は講演のために中国の北京を訪れていました。
そこで中国の治安当局にスパイ容疑をかけられ、2019年9月8日から11月15日までの約2か月間にわたって拘束されます。

現在は解放され、無事日本に帰国しています。

北大教授は、なぜ拘束された?

北海道大学の岩谷將教授は、中国の近現代史が専門。
防衛省のシンクタンク「防衛研究所」や外務省でも勤務した経験があります。

2016年から北海道大学の教授を務めていて、

  • 「日中戦争当時の国民党と共産党の関係」
  • 「中国の対日方針の歴史」

などについて研究していました。

今回は、中国政府系のシンクタンク・研究センター「中国社会科学院」の近代史研究所から招待され、2019年9月3日から中国入り。
学術交流会で発表を行っていました。

岩谷教授は「中国社会科学院」には学術交流のため以前から訪れていて、
昨年2018年9月にも
「日中戦争初期の日本の和平交渉」
と題して講演を行っています。

中国外務省の耿爽(こうそう)報道官によると
「ことし9月8日に中国の国家安全部門は、教授が収集していた中国の国家機密に関わる資料を宿泊先のホテルで押収した。取り調べの結果、教授は過去にも大量の機密資料を収集していたことを認め、証拠は明らかである」

ようするに、中国共産党にとって公表されるとまずい資料を持っていたので拘束されたということになります。

北海道大学の岩谷教授は、日中戦争当時の中国共産党の歴史に関する研究では第一人者だといわれています。

中国では、共産党に対する批判を行うと粛清の対象となります。
しかも、近年ではこうした傾向が強くなっており、直接的な共産党批判だけではなく、歴史に関しても中国共産党のシナリオと異なる資料や研究に関しては抑圧傾向にあります。

岩谷教授は、なぜ解放された?

解放されたということは、スパイ容疑の濡れ衣は晴らされた?
答えは「NO」

中国外務省の発表によると
「教授は事実を認め、反省の意を示したため、中国政府は法律の規定に基づいて教育と訓戒を行い、保釈手続きをとることを決定した」

「事実を認め」「教育と訓戒」などのフレーズから察するに無理やり自白させられて、洗脳教育のようなものを受けさせられたと思われます。

歴史の研究をしていただけなのにスパイ容疑をかけられて2か月間拘束、「中国共産党の意にそぐわない情報は二度と公表しません」という約束をさせられたといった感じでしょうか。

日本政府からも解放を働きかけていた

日本政府としても中国に対して繰り返し解放を要求していました。

10月22日、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に中国の王岐山(ワン チーシャン)国家副主席が参列。
その翌日となる10月23日、安倍晋三(あべ しんぞう)首相と王国家主席の会談。
会談の中で北大教授の解放を要求していました。

また、11月4日、安倍総理がタイを訪問。
訪問先のタイで中国の李克強(リー クーチアン)首相と会談。
「教授が拘束された状況は受け入れられない」として中国側に対応を求めていました。

来年2020年には中国の習近平(シー ジンピン)国家主席が国賓としての来日が予定されています。
それに向けて、日本としても、中国としても両国の関係を悪化させたくないという思惑は一致しています。

そのため、北大教授の解放については中国側が日本からの要求に応じたことになりますが、プライドの高い中国としては「日本政府から解放を要求されたから釈放した」とはできません。
そこで、中国側は「反省しているようなので保釈した」というあくまでも北大教授個人の問題として処理しています。

中国での相次ぐ邦人拘束

中国では、2014年から反スパイ法が施行されました。
それ以降、日本人を含めた外国人の拘束が相次いでいます。

2017年には、中国の山東省や海南島で温泉の地質調査を行っていた日本人6人がスパイ容疑で拘束されました。
このうち4人は解放されたものの、その他の2人については、1人は懲役15年の実刑判決、1人は懲役5年6か月。
この2人は2019年現在も中国に拘束されたままとなっています。

海南島はもともと温泉リゾート地となっていて、なぜ地質調査がスパイ容疑につながるのかは不明なままです。

また、2018年には伊藤忠商事社員がスパイ容疑で拘束されているが、こちらも具体的な嫌疑の内容は明らかにされていません。

2014年以降、スパイ容疑で拘束された日本人は公表されているだけでも14人にのぼります。
このうち9人が起訴され、伊藤忠商事の社員は現在公判中。
その他の8人には懲役刑が出ていて、現在も中国で不当に拘束されています。

追記:伊藤忠商事の社員に実刑判決

中国広東省の広州市中級人民法院(地裁)が先月、国家安全危害罪に問われた大手商社、伊藤忠商事の40代の男性社員に懲役3年の実刑判決を言い渡していたことが26日分かった。15万元(約230万円)の個人財産没収も命じた。日本政府関係者が明らかにした。

中国でスパイ容疑で起訴されると100%の確率で有罪判決が出ています。

2014年に中国で反スパイ法が施行されて以降、スパイ容疑をかけられ牢屋送りになった日本人で無事帰国した人は1人もいません。
懲役3~15年程度の判決が出ているようですが刑期後は無事に生きて帰れるのか…

北海道大学出身のウイグル人が行方不明

北海道大学出身のウイグル人研究者が2018年10月に中国で拘束され、それ以降連絡が取れなくなっています。

ウイグル人の男性は中国新疆ウイグル自治区の出身。
2000年~2006年に北海道大学大学院に所属し、北大で修士号と博士号を取得しています。
専門は水利や土壌環境。

北海道大学で学んだ後、2007年に帰国。
新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで新疆大学の准教授となりました。

それ以降は、北海道大学や首都圏の大学の日本人研究者が現地調査する際にウイグル自治区内に案内するなど、年に数回程度のペースで研究に協力していました。

その彼が、2018年10月に国家機密を漏らした容疑で中国当局に拘束されます。

現在は消息不明となっており、ウイグル人強制収容所に拘束されているのではないかとみられています。

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まとめ

北海道大学つながりということでウイグル関係かと思ったけど、直接的なつながりは無さそう?

昨年拘束された後に行方不明になっているウイグル人男性は「水利や土壌環境」の専門家。
今回拘束された北海道大学の岩谷將教授は「歴史と政治」の専門家。
2人の専門分野は異なるので、たまたま北海道大学という部分が共通していただけかも?

スパイというと軍事的なものをイメージしがちだけど、中国の場合は経済的なスパイの摘発にも力を入れているらしい。

中国が勝手にスパイと呼んでいるだけで、儲かりそうな分野に外国企業が参入しようとすると関係者をスパイとして拘束。
参入を妨害して、中国国内だけで利益を独占できるように国ぐるみで手を回しているみたい。

あとは、外交的な問題で「人質の解放」というカードを切るために、何かと理由をつけては外国人を拘束しているように見える。


新疆ウイグル自治区のウルムチを旅行した時の話。

ウイグルは監視社会

街中は10mおきに警察官が立っていて常に人々を監視している。
区画ごとに検問がありIDを見せないと通過できない。

検問を通るために列に並んでパスポートを見せるんだけど
「外国人は別にIDを見せなくてもいい」
みたいなリアクションをされる。

だけど、パスポートを見せないと外国人だと分かってもらえないだろうし
素通りしようとして急に腕とか掴まれたら怖いから
毎回パスポートを見せるようにしていた。

ウイグル自治区は中国人だらけ

街中を歩いていると中国人とウイグル人は半々くらい、もしくは中国人の方が多い。
ウイグル人だけが集まって住んでいるエリアもあるんだけど、
そこに入ろうとすると警察官に止められる。
外国人が入れるのは観光地化された対外向けのエリアだけ。
純粋なウイグルエリアは外国人には覗くことはできない。

中国共産党がお金をばらまいているらしく、
中国人が新疆ウイグル自治区に移住すると税制の優遇だとか支援金がもらえるらしい。
だから中国人がどんどんやってきてウイグル自治区の中国人比率が上がっていく。

青空教室で中国語を学ぶウイグル人

街中を歩いていると住宅街の少し開けたところでウイグル人が50人くらい集まっていた。
なんだろうと思って見学していると、青空教室が始まった。
どうやら中国語の勉強会をしているみたい。

たぶん、中国人が増えて来たからお店をやっている人なんかは中国語ができたほうが商売がしやすいんだと思う。
強制的に中国語を覚えさせられているという感じではなく、割と和気あいあいとした様子。
先生もウイグル人。
町内会の集まりっぽい雰囲気。

警官はウイグル人

街中のいたるところにいる警察官はほぼ全員ウイグル人。
ウイグル人がウイグル人を見張っている。

中国共産党がウイグル人を強制労働させているというわけではなく、
ちゃんと給料を払って雇っているらしい。

ウイグル人の警察官は中国から仕事とお金をもらっている。
嫌中派の人は虐げられるが、親中派の人は裕福になる。
すると自然と親中派の人が増えていく。

そして、暴動が起きてもウイグル人がウイグル人を鎮圧する。
ウイグル人同士で潰しあっても最終的に得をするのは中国。

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