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新型コロナウイルス、精度95%で大量に検査するとこうなる

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クラボウ、新型コロナウイルスの簡易検査キットを発売

クラボウが、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」を発売。

1キットで10回分の検査ができる。
お値段は27,500円(税込)。

基本的には医療機関や研究機関向けの商品。
中国からの輸入品。
1日1000キット程度の販売となる予定。

イムノクロマト法で血液中の抗体を調べる。
血液を1滴たらすだけで、新型コロナウイルス感染の有無が15分で分かる。

正診率は95%。

血液1滴15分で新型コロナ高精度判定、専門機関向け検査キット2万5000円で、クラボウ - 週刊BCN+
クラボウ(藤田晴哉取締役社長)は3月12日、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」を発売すると発表した。16日に衛生研究所、臨床検査会社などの研究・検査機関向けに販売を開始する。

精度95%の試薬を使うとどうなる?

3月12日現在、日本国内で620名の新型コロナウイルス感染者が確認されています。

この10数倍の1万人の感染者が日本国内に潜伏していると仮定します。
この状況で検査精度95%の方法で日本人全員に検査を行うとどうなるでしょうか?
計算しやすくするために、日本の人口を1億人に設定します。

感染者を1万人と仮定すると、非感染者は9999万人です。

  • 感染者:1万人
  • 非感染者:9999万人

有病率(罹患率)は0.01%。
1万人に1人が感染している状態です。

感染者1万人に95%の精度で検査を行う

感染者1万人に対して95%の精度の検査を行うと、判定結果は以下のようになります。

  • 感染者陽性と判定される人: 9,500人(95%)
  • 感染者陰性と判定される人: 500人(5%)

精度が95%だと、5%の人(500人)が、感染しているのに陰性(非感染者)だと判定されてしまいます。

非感染者9999万人に95%の精度で検査を行う

非感染者9999万人に対して95%の精度の検査を行うと、判定結果は以下のようになります。

  • 非感染者陽性と判定される人: 4,999,500人(5%)
  • 非感染者陰性と判定される人: 94,990,500人(95%)

精度が95%だと、5%の人(4,999,500人)が、感染していないにも関わらず陽性(感染者)だと判定されてしまいます。

想定される検査結果の表

陽性陰性
感染している9,500500
感染していない4,999,50094,990,500

赤字は、正しい検査結果。
青字は、間違った検査結果。

精度が95%で1億人を検査すると、500万人分(500+4,999,500)に関しては間違った結果が表れます。

  • 感度: 感染者を正しく陽性と判定する割合(95%、9,500人)
  • 特異度: 非感染者を正しく陰性と判定する割合(95%、94,990,500人)
  • 偽陽性: 非感染者を誤って陽性と判定する割合(5%、4,999,500人)
  • 偽陰性: 感染者を誤って陰性と判定する割合(5%、500人)

ニュースソースに「正診率95%」としか書いていなかったので、
今回の計算では感度が95%、特異度が95%、正診率(精度)が95%と仮定しています。

実際には、感度がx%、特異度がy%、合わせて精度は◯%みたいにそれぞれ別の数値が入る場合が多いです。

試薬で一番重要なのは、「感度」の精度の高さ。
感染者を検査した時に、スルーしてしまうのが一番だめなこと。

陽性反応適中度

陽性反応適中度(陽性適中度、陽性的中率)というのは、陽性と判定された人の内、実際の感染者がどれくらいいるかという指標です。

ここまで、1億人の中に1万人の感染者がいる場合に、95%の精度で検査をするとどうなるかを見てきました。

陽性と判定されるのは
9,500人 + 4,999,500人 = 5,009,000人

陽性と判断されるのが5,009,000人いるのに対して、実際の感染者は9,500人しかいないことに注目してください。
割合でいうと0.19%です。

むやみやたらと検査をすると、感染者1人を見つけるために、偽陽性(偽感染者)が500人発生することになります。

まとめ

正診率95%というのは、試薬としての出来はあまりよくありません。

1億人の中に1万人程度の感染者がいると仮定した場合(有病率0.01%)、大量に検査をすると、陽性反応が501人見つかってもその中に本物の感染者は1人だけ。
残りの500人は感染してもいないのに陽性反応が出ることになります。

あくまでも簡易検査キットであり、結果はただの参考値でしかないと思った方がよさそうです。

クラボウの簡易検査キットは1日1000キット(1万人分)が上限。
1億人検査をするには1万日かかります。
簡易キットが導入されても、シミュレーションのように国民総検査とはならないことはご留意ください。

国民総検査を行うと、陽性反応適中度は、この記事で試算したように0.19%程度になります。
しかし、実際の運用上は、発熱が続いている人など、ある程度コロナ見込みが高い人に絞って検査をします。
その場合は、もう少し陽性反応適中度は高い数値になります。

大事なのは、落ち着いて行動すること。

発熱がある人は、簡易検査キットで陰性反応が出てもむやみに出歩かない。
偽陰性(感染者なのに陰性と判定される)の可能性があるので、自宅待機で経過観察をしましょう。

簡易検査で陽性反応が出た人は、保健所に相談しましょう。
専門家にもう少し精度の高い検査をしてもらう必要があると思います。

続編もあります。

新型コロナウイルス、発熱(風邪)を基準に精度95%の検査をするとこうなる
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コメント

  1. この検査は過去に感染して抗体ができているかどうかの判定だけで今感染していても初期ならわからない可能性があります。つまり今ウイルスをばら撒いているかどうかは判定できません。「感染」というのは、過去に薄っすらとしたウイルスにさらされて自覚なく抗体はできている場合があります。ですから、95%でも強い抗体を持っている人は間違いなく100%出ますし、あやふやな抗体なら再感染するリスクがあるということで、出たり出なかったりするわけです。考えるほど無駄ではないでしょうね。95%の捉え方が宝くじのような考え方をするからあなたのような結論になるのです。

    • >95%でも強い抗体を持っている人は間違いなく100%出ます
      これは矛盾していないでしょうか?
      100%出るのなら、それは感度100%と呼びます。

      一般的に検査精度の測定には、感染していることが既に分かっている患者を被験者とします。
      その人たちから検体を採取し、どれだけの精度で感染者を判定できるかを計測します。
      感度95%というのは、間違いなく感染しているのに陽性と判定できないことがあることを意味します。

      • 高抗体価検体で100%出るかは試薬の出来や、阻害物質や交差反応などで変わりますが、高抗体価検査で100%検出出来ても感度100にはなりません。そもそも感度100の検査はあらゆる検査において、たぶん存在しません。しかしながら、この検査キットのコントロール群はおそらくPCRだと思います。そもそもPCR検査の感度がよくないので、このキットをスクリーニングで使用すると大量の偽陰性を生み出すことになると思います。

        • 高抗体価検体で100%の検出率でも、感染初期の状態(潜伏期間)の感染者などは検出できないから、感度は100%にはならない。
          みたいな話ですよね?

          高抗体価検体での検出率がそもそも95%という話をしたかったのですが、書き方が悪かったかもしれません。
          失礼しました。

  2. 非臨床系の検査屋です。推進派、慎重派どちらにも一読され、議論のベースにしていただきたいと考え、僭越ながら記事をツイートさせて頂きました。不都合がございましたら消去致します。

    因みに私は慎重派です。

    • ツイート大歓迎です。

      私もどちらかと言うと慎重派です。

      精度・偽陽性・偽陰性などを正しく理解して
      民衆が合理的な行動をしてくれるなら
      医療現場の負担とならない範囲で積極的に検査するべきだとは思います。

      しかし、現実的には陽性と判断された人は病院に詰めかけるだろうし、
      陰性だと判断された人は無遠慮に外出するだろうと予想されます。

      「どちらか分からないから自宅でおとなしくしておく」
      という自粛ムードが現実的には感染抑制につながると考えています。

      • ありがとうございます。

        仰る通り、マスクやトイレットペーパー騒ぎを見る限り、窓口に殺到するでしょう。

        また、適切でないタイミングでの検査で捻り出した証明書を免罪符にされ行動が大胆になることも避けなければならないと考えます。

        今のところやはり、不安はあれども熱があればまずは自宅待機がより良い対処法だと考えます。

  3. まず国民総検査なんかする必要がない
    具合が悪くなったやつだけ医師の判断のもと現状の検査で拾えればいいだけ
    日本はそれすら出来てないだけの話
    都合の悪いデータが出たら困る国側の屁理屈ですな

    • 国民総検査しろなんて言ってないですよ?
      現状の検査体制ではリソースが不足しているので、簡易検査キットの話が出てきたんですよ?
      データに誤りがあるならば具体的にご指摘頂ければ幸いです。

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