日本災害医学会、新型コロナウイルス感染症対応に従事する医療関係者への不当な批判に対する声明
日本災害医学会が新型コロナウイルスに携わった医療関係者が不当に差別されているとして声明を発表しました。
チャーター機やクルーズ船の医療活動に参加
武漢から航空機で帰国した邦人等約 800 人やクルーズ船内の乗客乗員約 3700 名に対して、現場に参加した本学会員をはじめとする様々な医療関係者は、健康管理および相談や、医療救護班活動、重篤化する症例の搬送業務、搬送調整業務、処方薬調整、外来や入院患者さんの対応などに尽力しています。
一般社団法人 日本災害医学会
https://jadm.or.jp/
https://jadm.or.jp/sys/_data/info/pdf/pdf000121_1.pdf
日本災害医学会のメンバーは、武漢からのチャーター機での帰国者や、クルーズ船の乗員乗客に対する医療活動に参加しているそうです。
これ自体は大変素晴らしいことだと思います。
職場などでいじめを受けた?
しかし、現場で人命を救うために自分の身を危険にさらして活動した医療者の中から、職場において「バイ菌」扱いされるなどのいじめ行為や、子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる事態、さらに職場管理者に現場活動したことに謝罪を求められるなど、信じがたい不当な扱いを受けた事案が報告されています。当事者たちからは悲鳴に近い悲しい報告が寄せられ、同じ医療者として看過できない行為であります。もはや人権問題ととらえるべき事態であり、強く抗議するとともに改善を求めたいと考えます。
一般社団法人 日本災害医学会
https://jadm.or.jp/
https://jadm.or.jp/sys/_data/info/pdf/pdf000121_1.pdf
- 「職場において『バイ菌』扱いされるなどのいじめ行為」
- 「子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる」
- 「職場管理者に現場活動したことに謝罪を求められる」
上記のような事柄に対して、日本災害医学会は
- 「信じがたい不当な扱い」
- 「人権問題」
と主張しています。
医療関係者は差別されているのか?
医療関係者が不当な扱いを受けていると主張している事象について1つ1つ見ていきましょう。
「職場において『バイ菌』扱いされるなどのいじめ行為」
「ウィルス」と「バイキン」は別物なのですが、
「ウイルス」扱いされるのはセーフだけど、
「ばい菌」扱いされるのはアウト、
という話ではないと思います。
「新型コロナウイルスに感染しているかもしれないからと、周囲の人間から避けられるのが許せない」
という意味だと思います。
クルーズ船の検疫官や、搬送に携わっていた救急スタッフから新型コロナウイルスの陽性反応が出ています。
新型コロナウイルスの感染者や感染疑いのある人と接触した医療関係者は、一定期間の隔離がされるべきでしょう。
船内活動を行った人間が周囲から距離を置かれるのは当然ではないかと。
むしろ、リスクを無視して、そのまま職場復帰するのはいかがなものかと思います。
「子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる」
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」などで活動した医療関係者には、新型コロナウイルスの感染疑いがあります。
新型コロナの閉鎖空間での感染力の高さを考えれば、もしも医療関係者が感染していた場合は、その家族にも感染している可能性は高いです。
「子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる」というのは至極まっとうなことだと思います。
これを、「信じがたい不当な扱い」「人権問題」だと騒ぎ立てる行為は、本当に医学会のすることなのかと目を疑います。
「職場管理者に現場活動したことに謝罪を求められる」
前述のとおり、クルーズ船での医療スタッフの中から新型コロナウイルスの感染者が見つかっています。
マスク・手袋・ゴーグル・防護服などを装着していたのにです。
院内感染のリスクを考えれば、現場活動をした医療関係者を出勤させないなどの措置が必要になってくるでしょう。
船内作業に行くことを事前に職場に報告して、シフトの調整等を行ったうえでのことであれば、おそらく問題にはならないはず。
職場に無断で活動を行っていたとすれば、職場管理者がリスクを持ち帰った人間に対して注意をすることもあるかと思います。
事前に報告をしていたのに謝罪を要求されるという状況は想像できないので、おそらく職場に無断で感染者や感染疑いのある人たちに接触したのでしょう。
「謝罪を求められる」というのが具体的にどのような状況なのかはわからないので、土下座を強要されたとかであれば怒っていいと思いますが。
日本災害医学会がクルーズ船に対応した医療関係者を排除
ダイヤモンド・プリンセス号に関わる船内活動もしくは搬送の業務に従事された方は、学術集会への参加を自粛してください。公衆衛生上、感染拡大のリスク軽減のための措置ですのでご理解ください。
なお受付で発熱等の風邪症状および上記業務への従事がないことを確認させていただきます
日本災害医学会総会・学術集会
https://site2.convention.co.jp/25jadm/
「ダイヤモンド・プリンセス号に関わる船内活動もしくは搬送の業務に従事された方は、学術集会への参加を自粛してください」
「人権問題」と声明を発表した「日本災害医学会」自身は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」とかかわった医療従事者へ、「日本災害医学会」が主催する学術集会への参加自粛を呼び掛けています。
つまり、船内作業従事者を「新型コロナウイルスの感染者予備軍」として認識していることになります。
そうなると、日本災害医学会が非難していた「子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる」というのも正当な行為だといえるでしょう。
まさか、医療関係者は感染疑いとして扱うが、その家族には絶対に感染疑いがないとでも主張するつもりでしょうか。
「ばい菌扱いを受けた」「謝罪を求められた」の2つについては、相手の言葉遣いが気に入らなかった、差別的な表現を受けたという可能性もあるので、まだ分かります。
しかし、「子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められる」については、「感染者予備軍として扱われること自体が不服である」と主張しているように見えます。
これは完全な「ダブルスタンダード」と言わざるを得ないでしょう。
まとめ
「感染のリスク」を無視して、人権問題にすり替えるのは医学会としていかがなものかと思います。
しかも、自分たちが開く学会には「ダイヤモンド・プリンセス号」に関わった人間の参加自粛を要請しているのに。
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