ゲームの内容と宣伝が大きく異なる
PCゲームプラットフォームのSteam(スチーム)にてアーリーアクセス版が40ドル(日本では4500円)で発売され、ゲームプレイのストリーム配信が50万人の視聴者を集めた新作ゲーム『The Day Before』だが、開発元のFntasticはその4日後、廃業を発表した。「The Day Beforeは詐欺ではない」と主張していた人々は、きっと決まりの悪い思いをしていることだろう。『The Day Before』は「サバイバルMMO」となると約束されていたが、実際のゲームプレイはまったく異なるジャンルの「エクストラクション(脱出)シューター」だった。
開発元は経済的に失敗し、負債の返済に追われる
Fntasticは12日の声明で、同作は「経済的に失敗」したと説明。同作からの収入は負債の返済に充てるとし、ゲーム内に多数残るバグを修正するための資金はないと述べた。同社はまた、自社のチームは5年間にわたり同作の開発に懸命に取り組んできたと弁明。開発費の調達にはクラウドファンディングは利用しなかったと説明した。だがもちろん、同社は購入者から40ドルを受け取っている。
ゲームのサーバーはまだ稼働中だが、プレイヤーは減少傾向にある
同作のサーバーは「現時点では」稼動を続けるという。記事執筆時点で、同時接続プレイヤーはまだ4400人おり、直近24時間のピークは7600人だった。これまでの最高同時接続プレイヤー数は3万8000人となっている。しかし、ゲームの品質は低く、プレイヤーの不満は高まっている。
ゲームは壊れた状態でリリースされ、プレイヤーを騙した
同作をめぐる騒動は、まさに悪夢だった。トレーラーは実際には存在しないゲームを紹介するもので、きっと予告映像の見栄えをよくするためだけに多額の資金が投じられたのだろう。Fntasticは、収益を借金の返済に充てると言っているが、返金されなかったソフト購入代金はプレイヤーがどぶに捨てたも同然となる。おそらく、自分が買ったゲームのひどい内容に気づいたプレイヤーへの返金が膨大な数となり、収益が大打撃を受けたのだろう。最終的に出来上がったのは、奇妙で破綻したゲームだった。購入した素材を使って作られた『ディビジョン』風の街は、ほぼ空っぽで、1時間のプレイで遭遇するゾンビは3~4体程度。プレイヤー同士の対戦は不具合だらけで、サーバーの問題による障害が相次いだ。所持品をすべて失い、最初からやり直す必要があった人もいた。同作は、宣伝されていた内容とはかけ離れただけでなく、完全に壊れた状態でリリースされた。
開発元は詐欺行為を行い、消え去った
ゲーム業界で今年、数千人が解雇されている中で、開発企業の1つが閉鎖されるのは、本来であれば嘆かわしいことだが、Fntasticはまったく話が別だ。同社が過去5年間にわたり何をしていたのかはわからないが、ゲームの内容について繰り返しうそをつき、宣伝していた内容とはまったく違う、壊れた製品を40ドルでプレイヤーに売りつけた。そして4日後、金を持って逃げたのだ。その金を「負債」の返済に使おうが関係ない。これは詐欺だ。同作は「存在」していたのかもしれないが、詐欺であることに変わりはない。同社のウェブサイトも完全に消え、廃業のメッセージに置き換えられている。YouTubeの公式チャンネルもすべて削除された。
プレイヤーは胡散臭いゲームに注意するべきだ
『The Day Before』は最初から胡散臭かった。小規模なゲーム開発チームの多くは支援されるべきだが、この程度の規模で、知名度も非常に低い会社がAAA級のゲームを開発するという約束は信用できないことを、プレイヤーは認識しなければならない。このようなことは二度と起こってほしくない。プレイヤーは、ゲームの評判やレビューを確認し、信頼できる開発元からのみゲームを購入するべきだ。そうすれば、このような詐欺に引っかかることはないだろう。
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