ホモ・フロレシエンシスとは?
2003年、インドネシアのフローレス島で、人類学者たちは驚くべき発見をしました。彼らは、約1メートルの身長とグレープフルーツほどの大きさの頭蓋骨を持つ、新種のホモ属の化石を発掘したのです。この新種は「ホモ・フロレシエンシス」と名付けられ、約3万8000年から1万4000年前の間にこの地で生活していたことが明らかになりました。
人間の脳容積と進化の謎
人間の脳容積は平均で約1350ccですが、チンパンジーは約380cc、化石人類の猿人は700~800cc以上でホモ属とされています。ホモ属にはハビリス、エレクトゥス、ハイデルベルゲンシス、ネアンデルターレンシス、そして現代人であるホモ・サピエンスが含まれます。人間の脳は体重のわずか2%を占めるものの、消費エネルギーは全体の20~25%に及びます。この大きな脳を維持するためには、肉食によって得られるエネルギーが不可欠でした。石器の使用による肉食の効率化は、脳の大型化と原人の出現と一致しています。
島嶼性矮小化の謎
ホモ・フロレシエンシスの小さな体格は、「島嶼性矮小化」という現象によるものと考えられています。これは、敵がいない環境や限られた食物資源の中で、小さい体格が生存に有利となるため、動物が小型化する現象です。同様の例として、シチリア島で発見された1メートルに縮んだゾウの化石があります。ホモ・フロレシエンシスと現代人がフローレス島で共存していた可能性があり、彼らがなぜ絶滅したのかは、今なお興味深い謎となっています。
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