東芝、上場廃止と再建への道

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最後の株式取引を終える

東芝は19日、株式非公開化を前に最後の株式取引を終えた。20日付で上場を廃止し、74年にわたる上場企業としての歴史に幕を下ろす。上場企業の株価を表示する東証アローズの電光掲示板からも、19日を最後に東芝の情報が消える。今後、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内企業連合のもとで経営立て直しを図る。

東芝は1949年5月に東証に上場し、長らく東証1部(現プライム)の座を守った。しかし、2015年以降、不正会計問題や米原発事業の巨額損失が相次いで発覚した。白物家電や半導体メモリーなど主力事業の売却を余儀なくされたほか、海外投資ファンドなど「物言う株主」の圧力を受け、経営再建が進んでいなかった。

今年9月にJIP陣営による株式の公開買い付け(TOB)が成立した。JIP陣営は、TOBに応じなかった残りの全株式を強制買い取りし、東芝を完全子会社化する。

東芝株の取引は19日午後3時に終了した。終値は前日比5円安の4590円だった。東芝は「上場以来、株主の皆様をはじめ関係者の皆様には、長年にわたり当社の経営にご理解と温かいご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます」とのコメントを発表した。

迷走から脱却を目指す

2025年に創業150年を迎える名門・東芝は近年、迷走が続いた。白物家電から半導体まで幅広く手掛ける総合電機メーカーはかつて、自動車と並ぶ日本の基幹産業だったが、00年前後からアジア勢に押されて業績が悪化した。日立製作所がインフラやIT事業、ソニーグループがゲームや映画、音楽分野にかじを切って再生を果たしたのに対し、東芝は原子力事業に活路を求めたことが裏目に出た。

15年の不正会計発覚でブランドイメージが傷ついたところに、17年に米原発子会社が破綻した。巨額損失を計上し、債務超過に陥った。財務基盤を立て直すために物言う株主と呼ばれる海外投資ファンドの出資を仰いだことも混乱に拍車を掛けた。医療機器や半導体メモリーなど収益性、将来性が高いとみられていた事業の売却に追い込まれた。

新体制はJIPが主導し、今後5年程度で再上場を目指す。原発など主力のインフラ事業に加えてデータサービス事業を収益の柱に育て、企業価値を向上できるかが課題となる。

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