小池知事の後押しで「推薦で安心感」
東京都江東区長選が10日投開票され、5人による激戦となった。自民、公明、国民民主、都民ファーストの会が相乗りで推薦し、小池百合子都知事の後押しも受けた元都幹部の大久保朋果さんが初当選を確実にした。立憲民主や共産などの支持を受けた酒井菜摘さんら4人を退けた。
「知名度が全くないところからのスタート。小池都知事、自民党、公明党、国民民主党、都民ファーストの会に推薦をいただけたことは、区民の皆様の安心感につながった」と大久保さんは初当選の喜びを語った。知事は「大久保さんは、行政のプロ。区民のために頑張ってくださると思います」とエールを送った。
自民系候補の苦戦と「政治とカネ」の影
都内では自民党が支援する候補者の苦戦が続いていた。9月の立川市長選、10月の都議補選立川市選挙区、11月の青梅市長選で、いずれも自民系候補が敗北した。政権支持率低迷のあおりを受けたとの見方が支配的だった。
一方で江東区では、ここ数年自民系議員の「政治とカネ」を巡る事件が相次いでいた。今年4月の区長選を舞台にした公選法違反事件が発覚し、地元選出の柿沢未途自民衆院議員や自民区議らの関係先が東京地検特捜部により強制捜査を受ける事態に発展した。
「小池色」を強調、「自民色」を控えた戦略
こうした厳しい状況の中、自民は党派色が強い候補を出さない方向へ舵を切った。その後、小池知事の主導により浮上したとされる元都部長の大久保さんを、公明や都民ファなどと推薦することに決めた。
選挙戦では小池知事が何度も現地入りし、今月に入り打ちだした高校無償化の所得制限撤廃などをアピールして元部下の大久保さんを持ち上げた。陣営は、SNSやポスターでも大久保さんと小池氏の2ショットを前面に押し出すなど「小池色」を強調した。一方で「自民色」は控えめで、ある党関係者は「陰ながらの応援にしている」と明かした。
告示直前には、自民党派閥による政治資金パーティー問題が発覚し、大久保陣営にとってはさらなる逆風となった。しかし、一定の集票力が見込まれる候補が乱立する激戦となり、自民批判票は分散した。一方で、推薦に名を連ねた公明が組織をフル回転させて票を大きく積み上げた。
酒井さんは「古い政治と決別できなかった」
立憲民主や共産などの支持を受けた酒井菜摘さんは、敗戦が確実になると「古い政治ときっぱり決別ができなかった。大久保陣営の選挙を見ると、自民が表に出てきていない、小池知事がたくさん来られていたり、見え方が自民が前面ではなかった」と時折涙を見せながら、敗戦の弁を語った。
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