決戦前日の記者会見
12月16日、法政大学オレンジは公開練習と記者会見を行った。富永一ヘッドコーチ(HC)と主力幹部がチームの意気込みや対戦相手である関西学院大学ファイターズについて語った。
関西リーグの関大戦での教訓
「関学さんはファンダメンタルがしっかりしていて、『当たる、走る、タックルする』という基本の部分で勝負をしてくるチームだと感じています。チャンピオンですし、我々がコントロールできる部分は限りなく少ないかもしれない。ただ、チャンスが0ではないので、そこで確実に得点に結びつけるなど隙を突きたいと思います」とHCは述べた。
「オフェンスもディフェンスも、ユニットとしてのコンビネーションが良いので、特定の個人の選手ではなく全員になってしまうのですが、ユニットの完成度が非常に高く手強いなという印象です。特に、LB陣の動きが的確かつ素早いと見ていて、警戒しています」と主力幹部は付け加えた。
東日本決定戦から得た経験
「我々は東日本決定戦の後、ファンダメンタルの部分を大事にして取り組んできました。具体的には、プレーの部分だけではなく、ハドルの集散などあらゆる部分を改めて見直しました。基本に立ち返って、しっかりやっていこうというところですね」とHCは語った。
「チームワーク、人の輪という部分では我々も関学さんに負けていないという自信がありますので、その部分はしっかり勝ちたいと考えています。学生たちは『新しいスタンダードをつくるんだ』ということで取り組んできました。そして、新しいことにチャレンジしようとやっておりますので、そこのサポートをコーチ陣として、できる限りのことを出し尽くせればいいなと考えています」と主力幹部も言った。
WRやRBやTEやOLから得た成功イメージ
「シーズンを通してWRとRB、TEとOLと細かくコミュニケーションを取りながら、成功の共通イメージをつくることにフォーカスしてやってきました。これは甲子園だからとか、関学が相手だからというのは関係なく、いつも通りの自分たちのプレーを質高く徹底的にやりきることを大事にしてください」とHCはアドバイスした。
「関学のディフェンスは個人個人の能力が高い印象です。プレーリードやアクションの速さだったり、タックルのアグレッシブさだったりは、関東のチームとは異質なものを感じます。特に21番の波田、25番の中野は嗅覚(きゅうかく)が光る選手なので、警戒しています。自分たちもチャレンジャーとして思い切りよくプレーしていきたいと思います」と主力幹部は述べた。
QBのリーダーシップと成長
「前回は平井(将貴、2023卒)さんがエースで、自分は気楽な立ち回りをさせてもらっていた部分があるんですが、今は試合を通じて自分が引っ張る必要があります。そのためにチーム全体に目を通し、自分自身がどう立ち回れば勝利につながるのかなどを考えながらプレーするようになりました」とQBの谷口は語った。
「今年QBコーチに就任した菅原(2008卒、オンワード、オービックOB)さんからは『QBがどうあるべきか』という部分から指導してもらっています。日常生活をはじめ、プレー以外の立ち振る舞いについても的確に指摘してくださるので、チームをどのように良い方向に導いていくのかという部分を学ぶことができました。あまりこの場では言いたくないのですが。『QBは絶対に痛がるな』っていうのがとても印象に残っていて。弱みを見せることは、仲間はもちろん、対戦相手に対しても大きな影響が出ることだと思うので、どんな場面でも強くある姿勢を大事にしています。明日もどんな状況であっても堂々とプレーしたいです」と谷口は続けた。
関学のQBとの交流と対抗心
「関学に対しては、同学年の須田(啓太、関大)のプレーがとても参考になると思っていて、スペシャルプレーのパスを決めきることがあの試合(16-13で関大が勝利)のキーだったのかなと感じています。自分たちも大事な場面で決めきることを徹底したいです」と谷口は言った。
「また、QBサックを受けた場合なんかはやっぱり止まってしまっているので、QBとしてサックやインターセプトをできるだけ減らすことが大事ですね。須田には以前、SNSを通してポケットムーブの練習を教わったこともありました」と谷口は明かした。
WRの信頼と自信
「WRは全員を信頼しています。出てるメンバー、出ていないメンバー全員がしっかり情報共有をしていて、信頼できるユニットだと思います。須加はガッツがあるプレーヤーですし、白井さんはクイックネスがあって球際に強い。やってくれると思います」とWRの須加は語った。
「啓明学院から法政に進学して、最後に同級生やライバルが多い関学と対戦できるのはとても幸せだと考えていて、2年ぶりに戻ってくることができて本当にうれしいです。また、相手が前回負けた関学ということでリベンジの機会をもらえた点でもワクワクしています」と須加は続けた。
LBの準備と挑戦
「前回は出場のチャンスをもらったときに、気持ちの面や技術面でも圧倒されてしまいました。けがで下がった先輩の分も活躍してチームを引っ張るという思いがあったんですが、それが達成できずにとても悔しい思いをしました。準備の大切さ、マインドセットの部分がとても重要だという学びを得られたので、その部分をしっかり準備してこられたと考えています」とLBの川村は言った。
「関学は関東のチームと比べて、プレースピードやフィジカルの強さが一段上になってくると思っています。そこに負けないように、迷わず思い切ってプレーすることが一番大事だと考えています。OLやTEとしっかりコミュニケーションを取って準備してきました」と川村は付け加えた。
「フィジカル面の差はチーム全体でも大きな課題として上がっていたので、トレーニングで体を大きくするだけではなく、ムーブメントトレーニングを取り入れるなどしてスピードやキレを高める取り組みをしてきました。この部分は自信がついてきたので、存分に発揮したいです」と川村は締めくくった。
関学とのライバル関係
高校時代からずっとライバル関係で戦ってきた関学との最後の対決に向けて、楽しみと緊張感を感じている。
関学の前島選手は高校時代お互いQBで、背番号も7で一緒だったことから、自然と意識するライバルだ。
甲子園ボウルのポスタービジュアルに2人で選んでもらえたことは自分としてもモチベーションになった。
自由と進歩のフットボール
法政が掲げる『自由と進歩のフットボール』は、学生アメフト界の新たなスタンダードになることを目標にしている。
そのためには成長し続けることだと思っており、勝敗だけにとらわれず、試合中も楽しみながらフットボールに取り組むことが大切だ。
日本一という結果がついてくればうれしいが、それ以上に自分たちのフットボールをして関学さんのやりたいことをさせないことが理想だ。
チームメイトへの信頼
僕が主将になってから、各学生の判断に任せることが多くなった。
管理をある程度緩くして個人の責任、裁量を増やすことで、各自が自分でものごとを決める回数が増えるようになった。
上から言われたことをやっているだけではなく、失敗しても改善案などが出やすくなった。
春の最終戦で日大に負けた後は、『上級生がもっとやるべきなんじゃないか』などの意見が出てチームが分裂したこともありました。そこから新たに作り上げることができたチームメイトへの信頼感が強まった。
チームカラー「アタック・オン」
今年は目的地である甲子園ボウルを大事にしようということで『アタック・オン』という目標を掲げてきた。
このディフェンスをしっかり体現できれば、関学相手にもしっかり戦えるだろう。
具体的にはタックルでしっかり仕留めることがカギになり、この1年間練習前後も全体で取り組んできた。
DB部門への期待
今年はDB部門が充実しており信頼している。
中でも3年生小田選手は1対1勝負では強くて頼れる存在だ。
僕自身もプレーリード速さや正確タックル力を発揮したい。
2年前はDBでの出番はなく、キッキングのみの出場でした。ディフェンスとして出たい気持ちが強くてとても悔しい思いをしました。甲子園ボウルという舞台に立てるので、関学を倒して日本一になりたいという気持ちでいます。
関学はランがとても強いのが大きな特徴だと思っています。なので、DBの力でランを止めることが大事になると思っています。特に34番、7番の選手が力強い走りをするので、1人で止められなくてもチーム全員で止めるようなディフェンスがしたいです。
関東リーグでは、パスに対する強さを発揮することができてリーグMVPをもらうこともできました。もちろん甲子園でもこの強みは出したいけど、ランにしっかり絡んで止めに行くことが目標です。
警戒しているのは25番の選手です。リーグ戦で7インターセプトを記録していて、尊敬している面もあります。でも自分の方が力を発揮して活躍し、ディフェンス全体の力で上回って勝ちたいです。
今年コーチに就任した樋田祥一(2008卒、ディアーズOB)さん、スチュワート・ローガン選手(IBM)の指導を受けて、ボールに対する意識が改めて強くなりました。その結果が、ターンオーバーに結びついていると感じてます。お世話になったコーチのためにも、ターンオーバーを重ねて勝ちたいと思います。
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