タイの首都であるバンコクは、世界一長い正式名称を持っています。その正式名称は、1782年に王朝を建国したラーマ1世が詠んだ詩に由来しており、都の美しさや繁栄を表現しています。しかし、現地の人は正式名称を省略して「クルンテープ」(天使の都)と呼んでいます。一方、バンコクという名称は欧米人の誤用によって広まったもので、川沿いにあった地名に由来すると言われています。この記事では、タイの首都の正式名称の由来と意味、そしてクルンテープとバンコクという呼び方の違いについて解説します。
タイの首都の正式名称とは?
タイの首都であるバンコクの正式名称は、以下の通りです。
クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット
タイ語での表記では、以下の通りです。
กรุงเทพมหานคร อมรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยา มหาดิลกภพ นพรัตนราชธานีบูรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์มหาสถาน อมรพิมานอวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์
カタカナで書くと、123文字にもなります。タイ語で書くと、11単語、121文字になります。これは世界最長の首都名とも言われ、ギネスブックにも登録されているそうです。
正式名称の日本語訳は、以下の通りです。
天使の都 雄大な都城 帝釈天の不壊の宝玉 帝釈天の戦争なき平和な都 偉大にして最高の土地 九種の宝玉の如き心楽しき都 数々の大王宮に富み 神が権化して住みたもう 帝釈天が建築神ヴィシュカルマをして造り終えられし都
日本語に直すと、都の美しさや繁栄をうたった内容であることがわかります。
タイの首都の正式名称の由来とは?
タイの首都の正式名称は、1782年に王朝を建国したラーマ1世が詠んだ詩に由来しています。
ラーマ1世は、先代の王が処刑された後、王の座に就きました。新しく王朝を建国するにあたり、都をそれまでのトンブリーからチャオプラヤー川を挟んだ対岸の地、バンコクに遷都することに決めました。
遷都の際、ラーマ1世は新しい都に思いをよせて長い詩を詠みました。そのときの詩がそのまま都の正式名称となっているのです。
ラーマ1世の詩は、インドラ神がヴィシュヌカルマ神に命じて作ったという伝説に基づいており、都の美しさや繁栄を表現しています。また、インドラ神の戦争なき平和な都という表現は、ラーマ1世が王朝の安定と発展を願ったことを示しています。
タイの人はクルンテープ(天使の都)と呼ぶ
上記の正式名称は儀式などで用いられる特別なものです。現地のタイ在住の方は日常的には「クルンテープ・マハーナコーン」(Krung Thep Maha Nakhon)または単に「クルンテープ」(Krung Thep)と呼んでいます。
「クルンテープ」とは「天使の都」または「神の都」という意味です。これは正式名称の最初の部分を取ったもので、都の美しさや繁栄を簡潔に表しています。
バンコクではなく「クルンテープ」と呼ぶと現地の方から好印象を持っていただけるかも知れませんね。
なぜ「バンコク」と呼ぶようになった?
現地の方が「クルンテープ」(Krung Thep)と呼ぶ一方、バンコク(Bangkok)は国際的な名称、英語表記として使われています。
「バンコク」の名の由来ははっきりしませんが、一説には「バーンマコーク」から来ていると言われています。「バーン」はタイ語で水辺の村、「マコーク」はアムラタマゴの木のことです。アムラタマゴの木はオリーブによく似た植物だそうです。「バーンマコーク」は「アムラタマゴの木が生い茂る水村」といった意味になるようです。
バンコクという名称は、欧米人がこのバーンマコークを誤用して使用しているうちに、どんどん世界中に広まったと言われています。その誤った知識が日本にも入ってきたことにより、タイの首都=バンコクのイメージが定着することとなりました。
まとめ
タイの首都であるバンコクは、世界一長い正式名称を持っています。その正式名称は、1782年に王朝を建国したラーマ1世が詠んだ詩に由来しており、都の美しさや繁栄を表現しています。しかし、現地の人は正式名称を省略して「クルンテープ」(天使の都)と呼んでいます。一方、バンコクという名称は欧米人の誤用によって広まったもの
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