デジタル万引きとは?
デジタル万引きは、書店やコンビニエンスストアで目立つ行為となっています。これは、書籍や雑誌の内容をカメラやカメラ付き携帯電話などで撮影し、購入せずに情報を入手する行為を指す造語です。
この言葉は、日本雑誌協会(JMPA)が2004年に創り出しました。彼らは、書籍や雑誌を購入せず、店頭で記事を撮影する行為を「万引き」に例えて表現しました。この問題に対処するため、日本雑誌協会と電気通信事業者協会(TCA)は、購入していない雑誌の記事などを撮影しないよう呼びかけるキャンペーンを行い、全国の書店へポスターを配布してマナー向上を訴えました。
しかしながら、この表現は本来の「万引き」とは異なり、窃盗罪に該当しないことが指摘されました。そのため、以後、日本雑誌協会はこの語の使用を自粛しています。
法的議論
デジタル万引きに関する法的問題は、民事的な面と刑事的な面で検討されています。
民事的な問題
迷惑行為であるとして、店の入口などに撮影禁止である旨を案内することは可能です。そして、この案内を無視して店内で撮影した場合には、店側の管理権を侵害していることになり、退去を求められたり、何らかの賠償請求をされる可能性があります。
刑事的な合法性
窃盗罪(刑法235条)が成立するためには、有体物である財物を窃取する必要があります。しかし、無体財産とされる情報を窃取する行為(情報窃盗)であるデジタル万引きでは、情報は画像データとして記録されるものの財物である本そのものを窃取するわけではないため、窃盗罪は成立しません。
著作権に関しては、私的複製(著作権法第30条)となるため、デジタル万引きは違法ではありません。ただし、撮影した画像データを不特定多数が閲覧できるようにしたり、商用利用したりする場合は私的複製の範囲を超えるため、違法となります。
また、撮影禁止の案内の有無にかかわらず、書店側としてはこのような行為をする者は「客」と呼べず、デジタル万引き目的で書店に入ったものとして建造物侵入罪が成立する可能性も指摘されています。ただし、警告を無視して繰り返し行うような場合を除き、直ちに犯罪となるという解釈は現実的ではないとされています。
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