『安達としまむら』が東海大学入試の現代文に登場
気になってる人がちらほらいるようなので1問だけ。ここ聞いてくるの中々だと思うんですがどうでしょう。。。 pic.twitter.com/VMsAKAWYIz
— ❐ Taiyaki! ☃︎ (@Taiyaki_A_M) February 12, 2022
2022年の東海大学入学試験に、入間人間さんのライトノベル『安達としまむら』から問題が出題されました。
『安達としまむら』入試問題
「学校の中央通りに揃えて生える桜の木にはうっすらと、花びらの色が見え始めていた。」
という文章の意図を選択肢から選ぶ問題です。
「満開の桜を背景にしないところにどのような象徴性が読み取れるか。」
という出題なので、
桜は満開ではなく、桜がつぼみの状態であることがポイントになります。
選択肢
- 桜色に咲いた美しさを予感させながらも、外側をつぼみが覆い内面を見せていない「桜さん」についての話を象徴させている、と読み取れる。
- 自分の殻に閉じこもっている「桜さん」をけして咲くことのない「桜」にたとえ、友情を咲かせられなかった話を象徴させている、と読み取れる。
- 「桜さん」との友情が生まれなかった語り手の悔しさを「桜さん」の「桜」に結びつけて象徴させている、と読み取れる。
- 「桜さん」に対する恋愛感情が自覚されない語り手を桜の花のつぼみにたとえ、やがて彼女との恋が花開く未来を象徴させている、と読み取れる。
- 花を満開にさせないことで語り手と「桜さん」との恋がいつまでも花開くことがないことを描く物語を象徴させている、と読み取れる。
『安達としまむら』回答・解説
消去法で、B・C・Eは×
BとCは真っ先に×です。
桜はつぼみの状態で、これから咲くこと、これから何かが始まることを暗示しています。
そのため、Bの「友情を咲かせられなかった」、Cの「友情が生まれなかった」の部分が、これに反します。
Eも×です。
「恋がいつまでも花開くことがない」の部分が、桜のつぼみの意図に反します。
桜のつぼみは今現在は咲いていないが、これから咲くことを予感させるものです。
正解はA
Aが正解です。
文章中に、
「訪れようとする小さな春の下でも、桜さんの氷は堅牢を保っている。」
という表現があります。
桜さんを氷に例え、春と対比しています。
「学校の中央通りに揃えて生える桜の木にはうっすらと、花びらの色が見え始めていた。」
という傍線部も、桜さんと氷を対比する部分へとつながる文章です。
文章全体として、桜さんへの描写を目的としていることが伺えます。
選択肢Aの「桜色に咲いた美しさを予感させながらも、外側をつぼみが覆い内面を見せていない」という部分が、
「訪れようとする小さな春」=「桜色に咲いた美しさを予感」
「桜さんの氷は堅牢」=「外側をつぼみが覆い内面を見せていない」
とマッチしています。
Dはおしい
「桜の花のつぼみにたとえ、やがて彼女との恋が花開く」の部分が、
満開の桜ではなく、これから咲こうとしている桜を描写した意図と一致します。
しかし、「恋愛感情が自覚されない語り手」に関する描写が文章中には見当たらないので、
正解の選択肢としては不適当です。
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