走行税とは?
自動車の走行距離に応じて課税する仕組み。
現在は自動車税
現在は自動車税といって車の排気量によって課税しています。
排気量によって29,500円、34,500円、39,500円、…、111,000円と段階的に上がっていきます。
電気自動車(EV車)の場合、「排気量が0なので自動車税は0円」というわけではなく、排気量1,000cc以下というカテゴリーに入れられて、毎年29,500円がかかります。
また、軽自動車(660cc以下)の場合は、自動車税ではなく軽自動車税という名前に変わり、年間10,800円がかかります。
自動車税から走行税に変更
走行税という新しい税金が上乗せされるわけではなく、今ある自動車税をやめて、走行税に切り替えようとしています。
※あくまでも検討段階なので実際にはどういうシステムになるのか、まだ見通しが立っていません。
走行税はいくらになる?
走行距離1km=5円の課税になるのではと噂されています。
5円/kmだと仮定すると、
軽に乗る人は、年間2,000km以上走ると増税、
軽以外に乗る人は、年間5,900km以上走ると増税。
ソニー損保が2015年に行った調査によると、年間走行距離が
2,000km以下の人は7.6%
5,000km以下の人は34.7%。
実質的に増税となる人の方が多いでしょう。
※実際に走行税が導入されるか、税額がいくらになるかはまだ不透明な部分が多いです。
上記はあくまでも仮定の話です。
ガソリン税は廃止?
車関連の税金ではガソリン税もあります。
ガソリン1リットルあたりのガソリン税は53.8円です。
ガソリン1リットルは約130円なので4割はガソリン税です。
走行距離に比例してガソリンを消費するので、ガソリン税は実質的に走行税と同じ意味だといえます。
ただし、ガソリン車はガソリン税を負担していますが、電気自動車は当然ながらガソリンを使用ないのでガソリン税は負担していません。
ガソリン税からの財源は主に道路などのインフラを整備するのに使われています。
ガソリン車も電気自動車も同じ道路を使うのに、ガソリン車だけが税を余分に負担するのは不公平だといわれています。
そのため、
- 走行税が導入されるとガソリン税は廃止されるのでは?
- 電気自動車にだけ走行税が課されるのでは?
といった意見も聞かれます。
世界の走行税
NHKの世界で導入が進む「走行税」によると、「スイス、ニュージーランド、ドイツ、ベルギーでは既に走行税が導入されている」ということになっている。
しかし、これはみんなが想像しているのとは違う。
ドイツの走行税
ドイツの場合は、アウトバーン(高速道路)が無料です。
しかし、大型車両(貨物の輸送に使うようなやつ)にはGPSの設置が義務付けられていて、高速道路を走ると距離に応じて税金がかかります。
税額は1㎞=0.1~0.2ユーロ程度(約10~20円)。
「高速道路を走ると距離に応じて課金される・・・」

めっちゃ当たり前のシステムやん
「世界中で既に走行税が導入されている」というのは走行税の導入を煽りたい人たちの印象操作かなと感じています。
ニュージーランドの走行税
ニュージーランドではディーゼル車を対象として走行税が導入されています。
ガソリン車はガソリンで走りますが、ディーゼル車は軽油を燃料にしています。
「ディーゼル車だけガソリン税を払わないのずるい。税金を徴収することにした」
そういうシステムです。
「走行税は1km=5円」という噂は、ニュージーランドの1,000km=5,000円という金額が元になっています。
どうやって徴収するかというと、ドライバーは事前に1,000km=5,000円のチケットを購入しておきます。
警察にチケットの確認を求められたときにメーターとチケットを見比べてオーバーしていたら罰金。
(※車種によって値段が違う。1,000km以上の料金区分もある。)
バイクの走行税はどうなる?
バイクはガソリンで走ります。
走行距離に応じてガソリンを消費して、ガソリンを給油するたびにガソリン税を負担しています。
実質、走行税を負担しているようなものですね。
ドイツやニュージーランドの事例を見ている限りでは、ガソリン税と走行税の二重課金はたぶんないでしょう。
地方はどうなる?
地方と都市部では走行税の税率が変わってくるのではといわれています。
施設が一か所に集中している都市部と、施設がまばらに点在する地方では車の走行距離が違ってきます。
また、公共交通機関の発達した都市部と車主体の地方では車の重要度が違います。
走行税が全国で一律に導入されると車を多用する地方では税の負担が重くのしかかります。
増税をすれば地方では当然ながら不満を持つ人が増えます。
そして、今後の選挙結果に影響します。
消費税10%に際し、ひよって軽減税率8%を取り入れたように、不満の声が続出すると何かしらの救済措置を出してくると思います。
増税すると100%不満が出るので、「○○は上げるけど、○○は下げる」「増税になる人もいれば、減税になる人もいる」みたいなややこしいシステムになることは間違いないでしょう。
「結局自分は増税・減税どっちになるのかよく分からない」状態にして、煙に巻くのはいつものことです。
車に乗らない人は関係ない?
「自分は車にのらないので関係ない」
そう思っている人も大勢いるでしょう。
しかし、走行税で実質増税となった場合は運送業が痛手をこうむります。
そうなると、流通コストが上がった分だけ、そのコストは商品価格に上乗せされます。
1日中運転する運送業の人は走行税がとんでもないことになる可能性も。
しかし、現行の自動車税は、乗用車よりも業務用車両の方が税額が安くなっています。
恐らく、走行税が導入されるとしても、業務用の場合は一般家庭の乗用車に比べて税率が低く設定されることが予想されます。
実は、地方民と運送業者はたくさん車を使い、たくさんガソリンを消費し、ガソリン税という名の走行税を既に負担している状態です。
今後もこの状況は変わらないと思います。
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