幸せホルモン・セロトニンを増やす方法
セロトニンは、精神状態の安定に関与している神経伝達物質であり、睡眠ホルモンであるメラトニンを作るためにも必要な物質です。
脳内でセロトニンが増えると、自律神経のバランスが整ったり、メラトニンも増えて睡眠の質が高まったりします。
セロトニンを増やすには、栄養が鍵
セロトニンを増やすには、体内でセロトニンを作るために必要な栄養を、食べ物からしっかりと摂ることが欠かせません。
この記事では、セロトニンを増やすために役立つ栄養素や食べ物について詳しく解説し、併せて実践したい生活習慣も紹介します。
幸せホルモン「セロトニン」とは?
幸せホルモンともいわれるセロトニンは、ドーパミン(喜びや快楽の増幅)やノルアドレナリン(恐怖や驚きなどの神経の興奮)と並ぶ、三大神経伝達物質のひとつです。
セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの働きを制御し、自律神経のバランスを整えて精神状態を安定させる役割を担っています。
セロトニンが「幸せホルモン」と呼ばれるのは、こうした作用により、精神の落ち着きやリラックス効果をもたらすためです。
セロトニンが不足すると?
脳内でセロトニンが不足すると、攻撃的になりやすく、不安やうつ、パニック障害などの精神的な症状を引き起こす原因となります。
脳内では様々な神経伝達物質が協調して働いていますが、セロトニンの不足により、それらのバランスが崩れてしまうためです。
また、セロトニン分泌量の低下は、女性ホルモン分泌量の低下との関連が明らかになってきており、更年期障害と関係するともいわれています。
セロトニンの分泌量は、健康的な食事や生活習慣により維持できますが、ストレスにより減少してしまいます。脳内でセロトニンが不足しないよう、普段から生活に気をつけることが重要です。
食べ物によりセロトニンを増やすには?
セロトニンは、じつは一部の野菜や果物に多く含まれています。
しかし、食べ物からセロトニンを摂っても、脳へ直接届かないようにするフィルターのような仕組みがあるため、脳内のセロトニンを増やす効果は望めません。
そこで、セロトニンを増やすには、脳内でセロトニンの原料となる栄養素の摂取が重要です。
セロトニンを増やすために役立つ食べ物の特徴を、栄養の観点から解説します。
「トリプトファン」と「ビタミンB6」の摂取が重要!
セロトニンを作る原料となるのは、必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」です。
トリプトファンは、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつとして食品に含まれています。
体内では合成できないため、トリプトファンは食べ物からの摂取が欠かせません。
また、トリプトファンからセロトニンを作る過程では「ビタミンB6」も重要な役割を担っています。
トリプトファンとビタミンB6を十分に摂取することで、脳内のセロトニンの増加が期待できます。
トリプトファン摂取量の目安
1日あたりのトリプトファン摂取量の目安は、年齢によって異なります。
18歳以上の成人では、1日あたりのトリプトファンの必要量は体重1kgあたり4.0mgが目安です。
体重60kgの成人の場合、1日あたりのトリプトファンの必要量は240mgが目安となります。
トリプトファンが不足しないように、次に紹介するトリプトファンが豊富な食べ物を取り入れつつ、バランスのよい食生活を心がけるとよいでしょう。
セロトニンを増やすためにおすすめの食べ物
セロトニンを増やすには、トリプトファンやビタミンB6を多く含む食べ物の摂取が重要です。
バナナ
バナナは、乳製品や大豆製品などには劣るものの、果物としてはトリプトファンが豊富です。
さらに、バナナからはビタミンB6をはじめ、多くのビタミンやミネラルも摂取できます。
手軽に食べられて腹持ちがよく、エネルギー源にもなるバナナは、セロトニンを増やしたい人にとって、朝食にもぴったりでしょう。
後述する豆乳や牛乳と組み合わせると、より効果的にトリプトファンやビタミンB6を摂取できます。
マグロやカツオなどの赤身魚
トリプトファンを豊富に含む食品のひとつとして、マグロやカツオなどの赤身魚が挙げられます。
より効率的に摂取するには、刺身などの生食がおすすめです。
ほかには、ツナの缶詰やかつお節なども料理に取り入れやすく、手軽にトリプトファンを摂取できます。
チーズや牛乳などの乳製品
チーズや牛乳などの乳製品もトリプトファンが豊富です。
加工された乳製品のほうが、生乳よりも多くのトリプトファンを含んでいます。
なかでも、脱脂粉乳(スキムミルク)はとくにトリプトファンが豊富であり、セロトニンを増やすために便利な保存食品です。
豆腐や納豆などの大豆製品
豆腐や豆乳、納豆、きな粉、しょうゆ、味噌などの大豆製品にもトリプトファンが多く含まれています。
豆腐の味噌汁や、牛乳ときな粉を混ぜたきな粉牛乳など、複数のおすすめ食材を組み合わせることで、さらに効果的なトリプトファンの摂取が可能です。
また、大豆製品には発酵食品も多く、摂取すると腸内環境も整えられ、セロトニンを増やすための食品として優れています。
その他のおすすめの食べ物
赤身肉(ヒレなどの脂身が少ない部分)やレバー、鶏肉、卵、ナッツ類、そばなども、セロトニンを増やすためにおすすめの食べ物です。
ナッツ類のなかでは、とくにカシューナッツやピスタチオ、ピーナッツ、アーモンド、クルミに多くのトリプトファンが含まれます。
また、効果的に栄養素を摂取するには、調理法にも注意するとよいでしょう。
例えば、赤身肉にはビタミンB6が多く含まれますが、熱に弱い栄養素です。
煮込み料理などの長時間加熱する調理法よりも、焼く、茹でる、揚げるといった、短時間加熱する調理法が適しています。
食べ物以外でセロトニンを増やす方法
セロトニンを増やす方法は、トリプトファンやビタミンB6の摂取だけではありません。
腸内環境や生活習慣にも気を配ることで、さらにセロトニンの分泌を促進できます。
紹介してきた食品の摂取と組み合わせて実践し、セロトニンをより効果的に増やしましょう。
腸内環境を整える
セロトニンの分泌には、腸内環境も関係しています。
脳内で働くセロトニンをトリプトファンから合成する過程は、全てが脳内で行われるわけではありません。
セロトニンを作る酵素反応は、脳だけでなく腸でも行われているのです。
セロトニンを増やすには、腸内環境を整え、不要な老廃物を排泄することが望ましいでしょう。
腸内環境の改善におすすめの食べ物
腸内環境を整えるには、食物繊維を含む食べ物を摂って、老廃物の排泄を促すことが重要です。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、このうち不溶性食物繊維には、水で膨張して老廃物をすみやかに排泄する働きがあります。
海藻類は食物繊維が豊富で、腸内環境の改善にとくにおすすめの食べ物です。
ほかには、穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、甲殻類の殻などが、不溶性食物繊維を多く含む食べ物として挙げられます。
また、水を毎日1〜1.5リットル程度飲むと新陳代謝が高まり、老廃物の排泄が進んで腸内環境が整います。
リズム運動をする
セロトニンを増やすには「リズム運動」がおすすめです。リズム運動とは、一定のリズムを保って行う運動のことです。
ウォーキングやジョギング、腹式呼吸など、毎日適度な運動を行うことで血液やリンパの流れがよくなり、新陳代謝が高まります。
新陳代謝が高まると老廃物の排泄が進み、結果として腸内環境が整うのです。
ただし、激しい運動は腸に負担をかけてストレスや疲労を与え、逆効果になるため注意しましょう。
朝に日光浴をする
起床後30分までに、15〜30分程度の日光浴を行うことで網膜が刺激され、セロトニンの分泌に関わるセロトニン神経が活性化します。
セロトニン神経が活性化することでセロトニンの分泌が促されます。
日光浴とリズム運動を組み合わせて、朝にウォーキングなどを行うのもおすすめです。
まとめ
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを増やすと、自律神経のバランスが整い、良質な睡眠がとれて、よりよい健康状態を保てます。
セロトニンを増やすには、食べ物からトリプトファンやビタミンB6を摂ることが欠かせません。
おすすめの食べ物としては主に、バナナや乳製品、大豆製品、赤身魚などが挙げられます。
ほかには、海藻などを食べて腸内環境を整え、運動や日光浴などの生活習慣にも気を配るとよいでしょう。
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