はじめに
人間の全ての血管を繋げると、その長さは10万キロメートルにもなり、地球を2周半もするということをご存じでしょうか?
この驚くべき事実の根拠や計算法について、毛細血管に詳しい菊池佑二博士の研究などから紹介します。
また、腸の表面積もテニスコートに匹敵するという雑学もお伝えします。
血管の長さの計算法
人体の容積を60リットルとします。体重60キログラムに相当します。
一方、毛細血管は、平均の長さが0.6ミリメートルくらいで、血管からの距離が0.05ミリメートルほどの細胞まで酸素を供給することが可能です。
毛細血管を中心とする半径0.05ミリメートル、長さ0.6ミリメートルの円筒の容積は、約0.0047立方ミリメートルとなります。
人体をこの円筒の集合と考えます。60リットル、すなわち6000万立方ミリメートルを0.0047で割ると、130億という数が出てきます。これだけの本数の毛細血管が必要になるわけです。
これに血管の長さである0.6ミリメートルをかけると78億ミリメートル、すなわち7800キロメートルという数字が算出されます。
ただし、これは平常時に必要な毛細血管であり、運動時には筋肉に10倍から20倍の血液を供給しなくてはなりません。そうすると「総延長10万キロメートル」という推定も納得できる数値となります。
毛細血管の役割と病気
毛細血管には、いくつかの種類がありますが、多くは直径0.01ミリ以下で、名前の由来となった髪の毛と比べても10分の1の細さです。
酸素を運ぶ赤血球がぐにゅっと変形しながら、ようやく通れるくらいです。
こんなに小さな部品が体じゅうに張り巡らされ、60兆とも37兆ともいわれる細胞すべてに酸素と栄養分を供給し、二酸化炭素を回収しています。
そして必要に応じて、多くの細胞が協調し、毛細血管が新たに作られたりもします。
毛細血管が正常な働きを失い、回復しないと大変です。
糖尿病性の網膜症や腎臓障害は、毛細血管が傷つくことで起こります。
「人は血管とともに老いる」ともいわれます。
病気にかかると、精妙に作られた人体が正常に動くことがいかにすばらしいか、実感します。
腸の表面積はテニスコートに匹敵する
腸は、その壁に無数にあるヒダで栄養を吸収する役割を持っています。
このヒダは本当に細かく無数に生えており、その全てを広げると表面積が200平方メートル近くにもなります。
この広さはテニスコート1面分に匹敵し、この表面積を使って食べ物の栄養を無駄なく吸収しているのです。
ちなみに、200平方メートルになるのは小腸で、大腸の表面積はテニスコート半面分の100平方メートルになるそうです。
まとめ
人間の血管の長さは地球2周半にもなり、毛細血管がそのほとんどを占めています。
毛細血管は細胞に酸素や栄養を運ぶ重要な役割を果たしており、病気になると大きな影響を受けます。
腸の表面積もテニスコートに匹敵するほど広く、栄養の吸収に効率的です。
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