加熱式たばこの増税問題

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政府・与党の方針

政府・与党は、防衛費の財源確保のため、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を複数年かけて実施する方針です。

このうち、たばこ税は、1本当たり3円程度の増税を予定していますが、加熱式たばこと紙巻きたばことの間の税負担の差を解消し、課税の適正化による増収を防衛財源に活用するという内容を盛り込む方向で調整を進めています。

現在、加熱式たばこは紙巻きたばこに比べて税負担が2割程度低くなっていて、この差の縮小に向けて加熱式たばこの税率を引き上げ、紙巻きたばこと同じ水準とする方針です。

ただ、防衛費の財源確保に向けた増税の開始時期について、自民党の税制調査会は12月中の決定を見送る方針で一致しています。政府・与党は今後、増税の開始時期を見極めたうえで、具体的な税率など詳細を検討することにしています。

業界や消費者の反応

政府・与党の方針に対して、加熱式たばこの増税に異論が噴出しています。加熱式たばこは、タバコ葉を直接火で燃やさないため火災や副流煙の心配が少なく、紙巻きに比べて健康リスクも低いとされるからです。

加熱式たばこは、タバコの葉を電気で加熱し、その蒸気を吸う仕組みです。紙巻きと同様に蒸気にはニコチンが含まれていますが、発がん性物質などの有害物質は、紙巻きに比べ少ないとされます。

得られるメリットの多さから、近年は紙巻きから加熱式にシフトする愛煙者の動きも広がっています。日本たばこ協会が11月30日に発表した4~9月の国内の加熱式たばこの販売数量は、前年同期比11%増の285億本。紙巻きが4%減の457億本に減少する一方で2ケタの増加を示しています。

紙巻きに比べ健康リスクなどを減らすハームリダクション(害の低減)の観点から、海外では紙巻と加熱式で大幅な税差を維持している国も多いです。英国では1箱20本入り相当のたばこ税額を比べると、紙巻が1118円に対し、加熱式は267円。ドイツでは紙巻が464円で、加熱式が125円と大きな差があります。

日本で加熱式たばこを販売する国内外のたばこメーカーは「世界的な動きと逆行する」と指摘し、加熱式を増税する政府方針に反対姿勢を示しています。もっとも、加熱式は紙巻きに比べて税率が7~9割程度に抑えられており、たばこメーカーにとって利益率が高い商品です。「加熱式の増税は利益圧迫に直結するだけに、避けたい事案」(業界関係者)というのが本音とみられます。

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