閉店の定番BGMになっているあの曲は実は「蛍の光」ではなかった

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店舗内で蛍の光を聞けば、誰しもが閉店時間を思い浮かべるでしょう。

家族や友人からも「蛍の光だよ」と教えられたことがある方も多いと思います。しかし実はデパートやスーパーなど店舗で耳にする閉店BGMは「別れのワルツ」が流れている場合があります。この2曲は大変よく似ているので、別れのワルツが流れていても蛍の光だと認識されてしまいがちです。これは昔から、日本では別れの歌として蛍の光が親しまれてきたことが起因しています。

なぜ「蛍の光」と「別れのワルツ」は似ているのか?

では、なぜ「蛍の光」と「別れのワルツ」は判別が難しいほど似ているのでしょうか。歴史をたどりながら解説します。

蛍の光と別れのワルツは原曲が同じ

蛍の光と別れのワルツは、スコットランドの民謡「オールド・ラング・サイン」をもとにしています。

蛍の光は、オールド・ラング・サインに日本語の歌詞をつけた楽曲で、1881年(明治14年)に誕生しました。一方、別れのワルツは、1940年代(昭和15年~昭和24年)のアメリカ映画「哀愁」の名シーンに使用するためオールド・ラング・サインをワルツ風にアレンジした楽曲です。

歌唱があると曲調の違いがわかりやすいですが、店舗に流れる際はクラッシック調やピアノ調で流れるため、ベースラインが目立ちやすくなり、区別が難しいです。

また、オールド・ラング・サインは、再会した旧友と酒を飲み交わすという内容で、英語圏では年末年始に歌われます。再会した旧友とまたしばしの別れを偲んで歌われるため、もともと別れを連想しやすい曲であったのかもしれません。

蛍の光と別れのワルツの違い

曲調が似ている蛍の光と別れのワルツですが、蛍の光は4拍子、別れのワルツは3拍子で構成されています。商業施設で耳にした際には「1・2・3・4」とリズムを刻んでみて、店舗が使っているBGMを比べてみても、おもしろいかもしれませんね。

また、2曲には歴史的な違いもあります。

蛍の光は、日本海軍学校の卒業式や士官が離任する際に使われたことから、別れのイメージが定着しました。その後、全国の小中学校の卒業ソングでも使われ、日本人の間で「蛍の光=別れの曲」というイメージが浸透していきました。

一方、別れのワルツは、前述のアメリカ映画が大ヒットし、有線ラジオ放送や音楽配信サービスで提供されるようになり、数多くの商業施設でBGMとして流されました。すでによく似た蛍の光が有名になっていため、同じ曲だと思われることが多く、次第に別れのワルツも閉店のBGMとして定着しました。

閉店ソングを流すメリット

蛍の光、別れのワルツは、それぞれ別れの歌として馴染みのある曲だとわかりましたが、お客さまの退店を促すなら、店内アナウンスを流したり、従業員の閉店作業を見せたりと他の手段で示すことも可能です。では、閉店前に閉店ソングを流すことにどのようなメリットがあるのでしょうか。

「蛍の光」と「別れのワルツ」聞き比べ

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