13日の金曜日という日付は、欧米では不吉な日として恐れられています。この迷信の由来には、キリスト教や古代ローマの歴史、13という数字の性質など、様々な説があります。しかし、どれも確かな証拠や根拠に基づくものではなく、一般人の噂や気持ちの問題によるものです。この記事では、13日の金曜日が不吉とされる理由や由来について、宗教的、数学的、歴史的な諸説を検討してみます。
宗教的な由来:最後の晩餐とユダの裏切り
もっとも有名な由来は、キリスト教に関するものです。レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた「最後の晩餐」という絵をご覧になったことがあるでしょうか。この絵は、イエス・キリストが十字架にはり付けられる前夜に、12人の弟子である使徒とともに行った晩餐の様子を描いた宗教画です。キリストを含めて数えた13番目の使徒であるユダが「裏切り者」として描かれています。そのことから、13が不吉な数字として嫌われるようになったという説があります。また、最後の晩餐が金曜日に催されたということも広く信じられており、金曜日も不吉な日として忌み嫌われるようになりました。しかし、これらの説は、実際には不正確であるにもかかわらず、一般市民の噂から広まったもので、聖書や宗教書などには記されていません。
数学的な由来:割り切れない素数と12進法からのはみ出し
別の由来は、13という数字そのものの性質に関係しているというものです。13はどの数でも割り切ることができない素数です。ちなみに11も一桁の素数で割り切れない数字ですが、13は時計などに使われている12進法から仲間外れにされている数字です。12進法は、1年が12カ月で、1日が24時間で、1時間が60分で、1分が60秒であることなどに由来しています。12は2、3、4、6で割り切れる便利な数字ですが、13はどの数字でも割り切れず、不規則で不便な数字です。そのため、13は悪魔の数字として認識されることとなりました。
歴史的な由来:ジュリアス・シーザーの暗殺とブルータスの裏切り
さらに別の由来として、「ブルータス、お前もか!」というセリフはご存知でしょうか。これは、古代ローマの偉大な軍人であり、政治家でもあったジュリアス・シーザーが、暗殺者に殺される時に発した言葉です。この言葉をかけられた相手は、暗殺の首謀者の1人であるブルータスでした。シーザーが信頼するブルータスに裏切られ、暗殺された日が13日であり金曜日だったことから、13日の金曜日が不吉な日として誕生しました。この説は、歴史的な事実に基づいているように見えますが、実はそうではありません。シーザーが暗殺されたのは紀元前44年の3月15日であり、ローマ暦では「3月の中日」と呼ばれる日でした。また、ローマでは金曜日という概念はなく、週の最初の日は日曜日ではなく土曜日でした。したがって、シーザーが暗殺された日は、現代の暦では木曜日にあたります。この説は、中世のヨーロッパでシーザーの暗殺と13日の金曜日を混同したものと考えられます。
まとめ
13日の金曜日が不吉だとされている由来には、宗教的、数学的、歴史的な諸説がありますが、どれも確かな証拠や根拠に基づくものではなく、一般人の噂や気持ちの問題によるものです。13日の金曜日に事件が起こったりすると、不吉だとささやかれますが、それは迷信深い人たちがこの日に起こった不幸な事件に敏感になり、より鮮明に記憶している傾向があるからです。実際には、13日の金曜日がそれ以外の日と比べてより危険であることを示すデータは存在しません。不吉だと思い込めば思い込むほど、嫌な気分にもなりますので、気にしないのが一番ですね。この日は日本人にとっての仏滅のようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。
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