昔は黒かった?白衣の歴史

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白衣の登場前

医師は黒い服を着用していた
患者を診察する場はフォーマルな場と考えられ、礼服として黒い服が着用されていた

白衣の採用

19世紀後半以降のヨーロッパ、アメリカで白衣が医師の服装として採用された
白色は清潔感や信頼性を表す色とされ、医療現場での使用に適していると考えられた
白衣は医療従事者の象徴的な衣服として定着した

日本での白衣の普及

日本で白衣が普及したのは大正初期と考えられる
江戸時代には医師の資格は存在しなかったが、明治以降に西洋から医学の導入を図り、医師の服装も西洋のスタイルに合わせ、白衣が着用されるようになった

白衣の役割

白い色は清潔感があり、医療現場で使用されることが多い
医師の服装といえば白衣というイメージが強い

白衣は患者との距離感を保ち、医師の専門性をアピールする
患者やそのご家族からの信頼を得るために重要な役割を果たしてきた

白衣からスクラブへ

最近では白衣を着用する医師は減少し、スクラブを着用する医師が増加している
感染管理の観点から、白衣よりもスクラブのほうが適しているという要因がある
イギリス保健省のガイドラインでは、患者のケアを行う際は半袖のシャツやブラウスを着用し白衣は避けるように記載されている
白衣の袖口やボタン類は細菌に汚染されやすく、汚染箇所が患者と接触する可能性が高いため
感染管理の観点以外でも、動きやすさ、デザインなど様々な理由により医師の服装は白衣ではなく、スクラブが選択されるようになってきた

スクラブの特徴

スクラブは白衣に代わって医療現場での使用が増えてきた、より機能的な服装である
白衣よりも動きやすく、洗濯が容易であるため、清潔さを保つことができる
スクラブには多様な色やデザインがあり、多くのラインナップの中から選ぶことができる
診療科目によっては、患者の不安をやわらげ安心感を与えるために、パステルカラーやキャラクター柄など患者層に合わせて選択できるというメリットがある
最近ではスクラブのデザインや機能性が進化しているため、今後ますます医療現場での使用が多くなることが予想される
しかし、看護師や検査技師などコメディカルの職員もスクラブを着用しており、職種間の区別がつきにくい場合がある
そのため、医師は診療時にスクラブの上に白衣を着用し、処置をするときは白衣を脱ぐなどの対応をルール化している医療機関もある

服装の色の変化

医師の服装は白一色の白衣から、様々な色のユニフォームが着用されるようになった
服装の色に変化に影響を与えた要因として、補色残像と白衣高血圧症がある

補色残像の影響

赤や青などの有彩色を見た後に、白い壁などを見ると、直前に見ていた色の補色(対照色)が視界に現れる現象を「補色残像」という
医療現場では、長時間の外科手術などで赤色の血液を長時間見続けた場合、視線を向けた先で赤色の補色である青緑色が残像として現れてしまう
補色残像の影響を和らげるために、手術着や手術室の壁・カーテンなどは青緑色のものに変更されるようになった

白衣高血圧症の影響

医師の服装の色が多様化した背景には、白衣性高血圧の影響もある
白衣高血圧症とは、普段は高くない血圧が、医師の診察時には高くなってしまうことを指す
患者が病院での診察や治療に不安や緊張を感じることが原因で、血管が収縮して血圧が上昇するため
白衣が医療従事者の服装として定着していたこともあり、白衣を見ただけで血圧が上昇してしまう患者もいた
そのため、白以外の色のユニフォームが着用されることが増えた

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