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Hagex刺殺事件(福岡IT講師殺害事件)から1年。11月11日初公判

Hagex刺殺事件(福岡IT講師殺害事件)から1年。11月11日初公判。時事
Hagex刺殺事件(福岡IT講師殺害事件)から1年。11月11日初公判。
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Hagex刺殺事件とは?

Hagex刺殺事件とは、福岡IT講師殺害事件、ネット逆恨み殺人事件などとも呼ばれる2018年6月24日に起きた事件のことをいいます。

有名ブロガーのHagexこと岡本顕一郎氏が、「低能先生」こと松本英光容疑者によって殺害されました。
岡本さんは上半身数十か所を刺され、現場には血の海が広がっていました。

インターネットの匿名掲示板である「はてな匿名ダイアリー」で荒らし行為を繰り返していた松本容疑者のことを、Hagex氏が運営会社である「はてな」に通報したことを逆恨みしての犯行だとみられています。

両者には面識はありませんでした。

面識のない、名前すらも知らない人間をネット上の恨みだけで殺害するという凶行が当時大きな話題となりました。

Hagex刺殺事件の容疑者、低能先生

Hagex刺殺事件の容疑者は、福岡市の無職・松本英光。
事件当時42才。

松本容疑者は九州大学を卒業しています。
九州大学の偏差値は60~71となっていて高学歴と呼ばれる部類に入るでしょう。

九大を卒業後は就職し、一般的な社会人としての生活を送っていました。
しかし、2012年、36歳のときに退職。
それ以降は無職で、事件を起こす2018年までの6年間は実家暮らしをしていたようです。

社会との接点を失った彼が見つけた居場所となるのが「はてな匿名ダイアリー」
「はてな匿名ダイアリー」とはインターネット上の掲示板のようなもので、匿名で誰でも発言を書き込むことができます。

他者に対して批判的な発言をする人を見つけては「低能」の言葉を使って罵倒する、それが松本容疑者の日課でした。
批判的な書き込みを攻撃することで「自分は正義の味方」と思いこみ、優越感や承認欲求を満たしていたとみられています。

Hagex刺殺事件の被害者、Hagex

弊社従業員の訃報について

平成30年6月24日,弊社従業員が刺殺されたとの報に接しました。

休暇中に犯行に巻き込まれたもので,弊社では詳細の把握に努めているところです。

既に被疑者は逮捕されたと報道されており,弊社としては捜査に全面的に協力していく所存です。

故人は,弊社創業時からのメンバーであり,弊社ではオンラインのセキュリティメディアの編集長を務めるなど,多方面で大変活躍しておりました。

故人を失ったことは弊社としても痛恨の極みです。

今後のサイバーセキュリティ業界にとっても,貴重な人材を失ったと言わざるを得ません。

故人への哀悼の意を表しますとともに,ご遺族の皆さまに謹んでお悔やみ申し上げます。

平成30年6月25日

株式会社スプラウト

代表取締役社長 高野聖玄

サイバーセキュリティ対策の専門企業 / 株式会社スプラウト
スプラウトは、通称ホワイトハッカーと呼ばれるセキュリティエンジニアを中心に、サイバーセキュリティ分野に精通したコンサルタントやリサーチャーらが集まった専門家集団です。

Hagexこと岡本顕一郎さんは株式会社スプラウトというサイバーセキュリティ企業で働く会社員でした。
事件当時は41才。

それとは別にHagexという名前でブログを書いていました。

結構有名な方で、炎上ネタのファクトチェックや矛盾点をつくなど鋭い切り口が人気のブロガーさんでした。
しかし、人によっては「揚げ足取り」の批評ブログを書く人として煙たがられているような側面もありました。

Hagex氏はブログでは本名や会社のことは公表していませんでした。

事件当時も、株式会社スプラウトの岡本顕一郎ではなく、Hagexとして講演をするために福岡を訪れていました。

「低能先生」は自分のことを正義の味方だと思っていた?

Hagex刺殺事件の加害者は「低能先生」こと松本英光。

被害者は、ブロガーのHagex氏。

Hagex氏は炎上ネタをブログで取り扱いさらなる炎上を煽るスタイル。
周囲からはHagex氏に対して「ネットリンチ・ネットいじめ」ではないかとの声も上がっていました。

炎上の中心人物の中には、自業自得の人(犯罪自慢など)もいれば、単なる言いがかりをつけられ炎上している可哀想な人たちもいます。

炎上を煽るネットイジメに対して、義憤にかられた「低能先生」は炎上をおもしろがって煽る人たちに向けて「低能・死ね」などの言葉を使って噛みつきます。

「低能先生」は自分が「正義」で、煽る人を「悪」だと決めつけているようなところがありました。
そして、一方的に暴言を浴びせるだけで議論にならないこともありました。

はてな匿名ダイアリーは匿名で投稿をすることが可能で、「低能先生」が自分で「低能先生」と名乗ったわけではないのですが、「低能」という言葉をよく使うことから周囲からは「低能先生」と呼ばれるようになります。

しかし、汚い言葉で罵る「低能先生」は、運営からたびたびアカウントを削除されてしまいます。

何度もアカウントを作り直して同じことを繰り返す「低能先生」、確認されているだけでも100個以上のアカウントを作っていたようです。

低能先生の捨てIDをわかる限り集める(2018/5/31まで)
https://anond.hatelabo.jp/20170921212825

犯行のきっかけとなったといわれるHagex氏の投稿

そんなとき、殺人の動機の1つになったと思われるブログ記事がHagex氏によって投稿されます。

低能先生からコールが来る度に、私ははてなに通報を行っている。
当初は「私も含めて、他のユーザーに罵詈雑言を行っている人間です」と丁寧に理由を書いていた。が、最近では「低能先生です」と一言だけ書いて送っており、その後低能アカウントは凍結される。

低能先生に対するはてなの対応が迅速でビックリ
http://hagex.hatenadiary.jp/entry/2018/05/02/112825

もともと、「低能先生」はHagex氏に対する攻撃をインターネット上で繰り返していました。

そして、Hagex氏のこの投稿をきっかけに、

「通報の際に『低能先生です』の一言を添えるだけで『低能先生』のアカウントは停止になる」

という共通認識がはてな界隈で広がります。

これにより「はてな」での活動がしづらくなり、唯一の居場所を奪われた「低能先生」
この投稿がHagex氏に対する憎悪を膨らませる要因になったと考えられています。

低能先生に対する集団損害賠償請求と情報開示請求

「死ね」だけではなく「低能」という悪罵をよく飛ばすことから、「低能先生」と呼称されるようになりました。

(中略)

「低能先生」の行為の問題点は次の2つです。

  • 議論ではなく嫌がらせ目的の行為であり、精神的な苦痛を与えるだけの行為であること
  • 次々に嫌がらせ用のidアカウントを作られるため、idアカウントとなり得る英数字の組み合わせの枯渇につながるため、はてなユーザーにとって迷惑であること

(中略)

彼の行為は、刑事訴訟の対象ではないかもしれません。

しかし、民事訴訟は精神的苦痛でも訴訟の対象なので、訴えることは可能です。

ただし一人の人間が「死ね」と言われたからといって、裁判所が訴えを取り上げるかどうかは難しいところではあります。

ただし、同じ様な被害を受けた人が複数いれば、話は別です。

(中略)

これまではてな運営に申し入れしても低能先生のIP開示請求を受け入れてくれないとのことですが、これも、多数で同時にはてなに申し入れすることで突破できるのではないでしょうか。

「低能先生」への集団損害賠償請求について
https://anond.hatelabo.jp/20180429202956

Hagex氏の投稿とほぼ同時期に「低能先生」への集団訴訟の話が始まります。

「死ね」という言葉だけでは警察は動いてくれない。

民事訴訟であれば可能だが、費用や時間のことを考えると現実的に個人で行動に移すのは難しい。
そこで、集団訴訟という形であれば訴えることが可能かもしれない。

集団訴訟になれば、IPアドレスの開示請求を行うことができる。
そして、「死ね」という言葉を何度も浴びせてくる加害者の身元を特定することができる。

身元がばれること、訴訟になることを恐れた「低能先生」はこの時期から徐々に「はてな」での活動ができなくなっていきます。

2018年東海道新幹線車内殺傷事件

Hagex刺殺事件とは直接関係はないのですが、「低能先生」が凶行に及ぶ引き金になったものの1つに「2018年東海道新幹線車内殺傷事件」があります。

2018年6月9日21時45分、東京発・新大阪行きの「のぞみ265号」の社内にて無差別殺人事件が発生しました。
Hagex刺殺事件の約2週間前のできごとです。

犯人は走行中の車内で鉈を振り回し、1人が死亡、2人がケガを負います。
新幹線は小田原駅に緊急停車、犯人は駆け付けた警察官に取り押さえられます。

被疑者は愛知県岡崎市在住、当時22歳の男。
犯行後の取り調べでは、「誰でもよかった。刑務所に入りたかった」というようなことを自供しています。

凶行に及んでも、無職であり社会的信用や財産など失うもののない人間を「無敵の人」と呼ぶことがあります。

この事件を受けて、「この新幹線車内殺傷事件の犯人は『低能先生』ではないか?」という噂がたちます。
また、「低能先生は引きこもりでネット弁慶だから何もできないだろう」(新幹線車内殺傷事件の犯人は低能先生ではないだろう)という声も上がります。

この「低能先生は引きこもりでネット弁慶だから何もできないだろう」という書き込みが、Hagex刺殺事件の直接の引き金になったのではないかといわれています。

この書き込みをしたのはHagex氏ではないとされていますが、低能先生は「何もできない」と言われたことに対して「馬鹿にされた」と感じ、(新幹線殺傷事件のようなことを)「やってやる」と思いついた可能性があります。

標的は複数いた

低能先生の標的となり普段から「死ね・低能」などの罵詈雑言を浴びせられていたターゲットは複数存在しました。

加害者の低能先生は福岡に住んでいました。

被害者のHagex氏は普段は東京に住んでいました。
職場も東京です。

しかし、たまたまHagex名義での講演が福岡であり、事件があった2018年6月24日は福岡へ来ていました。
講演なので会場や時間などの情報はネット上で公開されていました。

低能先生は、たまたま標的の1人であるHagex氏が講演で福岡に来ることを知り犯行に及んだとみられています。

Hagex氏はネット上で本名は公開していませんでしたが、サングラス姿の顔写真などは公開していました。
「低能先生」は事件の数時間前から会場で待ち伏せしてHagex氏を探していようです。

事件に関する時間の流れ

  • 2018年4月29日
    はてな匿名ダイアリー「『低能先生』への集団損害賠償請求について」
  • 2018年5月2日
    Hagex「低能先生に対するはてなの対応が迅速でビックリ」という記事を公開
  • 2018年6月9日
    東海道新幹線車内殺傷事件が発生
  • 2018年6月10日
    匿名の投稿「新幹線の事件は低能先生の犯行では?」
    匿名の投稿「低能先生は引きこもりでネット弁慶だから何もできないだろう」
  • 2018年6月24日 19時頃
    低能先生が講習会の会場へ侵入
  • 2018年6月24日 20:00頃
    低能先生が会場のトイレ周辺でHagex氏を刺殺、逃走
  • 2018年6月24日 22:29
    低能先生、犯行声明のようなものを「はてな」に書き込み
  • 2018年6月24日 23時頃
    低能先生が警察に自首

低能先生、犯行後の生命

おいネット弁慶卒業してきたぞ
改めて言おう
これが、どれだけ叩かれてもネットリンチをやめることがなく、俺と議論しておのれらの正当性を示すこともなく(まあネットリンチの正当化なんて無理だけどな)
俺を「低能先生です」の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ
「予想通りの展開だ」そう言うのが、俺を知る全ネットユーザーの責任だからな?
「こんなことになるとは思わなかった」なんてほざくなよ?

ただほぼ引きこもりの42歳はここで体力が尽きてしもうた
事前の予定では東京までいってはてな本社にこんにちはするつもりだったが、もう無理
足つってるし
なんだかんだ言ってはてなというか増田が俺をネット弁慶のままで食い止めていた面もあるしなあ
逆に言うと散々ガス抜きさせてもらった恩がある
はてブと通報厨には恩など欠片もないが
てことでこれから近所の交番に自首して俺自身の責任をとってくるわ
足つってるから着くまで30分くらいかかるかも

はてな匿名ダイアリー
http://archive.is/AFT0C#selection-155.0-355.4

報道によると犯人は23時頃、交番に出頭してきたといいます。

上記の「はてな匿名ダイアリー」への書き込みは、犯行後2時間半後、自首する30分前に書かれたものです。

その中で、「おいネット弁慶卒業してきたぞ」とあるから、「ネット弁慶」「何もできない」などと揶揄されたことを根に持っていたことがうかがえます。

また、犯行後に東京にある「はてな本社」にも行く予定だったことがつづられています。

「はてな本社」も襲撃対象だったのか、「はてな本社」で自白をする予定だったのか、そちらの動機については明らかになっていません。

初公判(2019年11月11日)

事件があったのは2018年6月24日、精神鑑定などを経て約1年半が経過した2019年11月11日、福岡地裁にて裁判員裁判の初公判が開かれます。
判決は20日になる予定。

容疑者は罪状認否で「間違いありません」と犯行内容を認めているようです。

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