ハーディ・ワインベルクの法則とは？

ハーディ・ワインベルクの法則とは？

ハーディ・ワインベルクの法則は、遺伝学と進化生物学の分野で重要な法則の一つです。この法則は、遺伝子座における遺伝子頻度の変化が特定の条件を満たす場合には起こらないという原則を示しています。

この法則は、イギリスの数学者ゴッドフリー・ハーディとドイツの医学者ヴィルヘルム・ワインベルクによって独立に提案されました。ハーディは数学的なアプローチから、ワインベルクは生物学的な背景からこの法則を導き出しました。

ハーディ・ワインベルクの法則の要点は以下の通りです：

大規模な集団

この法則は、無限に大きい集団（無限個体数）を仮定しています。これにより、遺伝子頻度が変動する要因が限定的になるという前提が成り立ちます。

遺伝子頻度の不変性

遺伝子座における遺伝子頻度は世代を経て変化しない（平衡する）とされます。つまり、特定の遺伝子が特定の頻度で存在していると仮定されます。

突然変異や自然選択の影響がない

法則の適用条件下では、突然変異や自然選択などの進化要因が存在しないとされます。これにより、遺伝子頻度が安定している状態を保つことができます。

性淘汰なし

法則の成り立つ条件では、性淘汰（異性間で選ばれることによる進化）がないとされています。

この法則は、遺伝子の変異や自然選択などの進化メカニズムが働かない理想的な状況を表しています。実際の生物集団ではこのような条件は満たされないことが一般的ですが、ハーディ・ワインベルクの法則は、遺伝子の変化を研究する出発点や基準として重要な役割を果たしています。特に遺伝子座における遺伝子頻度の変動を理解し、異なる進化的プロセスを考える上での基本的なアプローチとして利用されます。