アニメ映画版『この世界の片隅で』
近年見た映画の中で一番面白かった。
終戦記念日ということで録画していたものを再鑑賞。
小ネタやら伏線やら気づいたことをメモ。
方言など聞き取れなかった部分をググってメモったやつとかも。
ネタバレを含むので
『この世界の片隅で』をまだ見ていない人は読まない方がいいです。
登場人物
浦野家
浦野すず: 主人公
浦野要一: すずの兄、鬼いちゃん(おにいちゃん)
浦野すみ: すずの妹
森田家
森田イト: すずのおばあちゃん
森田千鶴子: イトの孫、すずのいとこ、すずより年下
水原哲: すずの同級生、水兵さん
北条家
北条周作: すずの夫、海軍軍法会議の録事
北条圓太郎: 周作の父、工廠(コウショウ)の技術者
北条サン: 周作の母、足が悪い
黒村径子(ケイコ): 周作の姉
黒村晴美: 径子の娘、兄の影響で船に詳しい
黒村久夫(ヒサオ): 径子の息子、晴海の兄、船が好き、夫方の祖父母に黒村家の後継ぎとして連れていかれた。母径子や妹晴美とは生き別れ状態。
白木リン: 呉にある遊郭の遊女、周作の元恋人?
テル: リンの同僚の遊女、すずと交流があった、テルは病死し形見の口紅をすずが譲り受けた
小林さん: 北条圓太郎の姉、周作の伯母、メガネのおばさん、すずと周作の仲人(空襲が激しくなってきたころ北条家にいつのまにかこの人が増えてて誰かと思った)
刈谷さん: 北条家のご近所さん、知多さんと仲が悪い、太っている方
知多さん: 北条家のご近所さん、刈谷さんと仲が悪い、背が高い方
地名
広島 江波(えば): すずの実家がある場所、原爆の爆心地から3.5km、原爆により建物が破損したが全壊するほどではなかった
広島 草津: すずのおばあちゃんの家、リンの出身地、原爆の爆心地から4.5km、原爆の直接的な被害はほぼなし
呉市 上長之木(かみながのき)町: 周作の実家がある場所
エピソード
ふたば
子供のすずが海苔を届けに行く料理屋さんの名前が「ふたば」
大人になったリンの勤め先が「二葉館」
娼館のことを料亭と呼んだりするし同じお店かも?
鬼いちゃん(人さらい、ばけもん)
人さらいの正体は「鬼いちゃん」(すずの兄・要一)
すずの兄・要一は戦死したことになっているが、すずの空想の中では南の島に流れ着きワニのお嫁さんをもらっている。
話の終盤で橋の上で再び「ばけもん」が登場するが、そのときはかごの中にワニが入っている。
周作との出会いはかごの中
すずが海苔を届けに行く途中で迷子になり、気づくと人さらいのかごの中で目を覚ます。
同じくかごの中で出会った少年。
その少年は後にすずの夫となる周作。
周作は子供のころ広島の学校へ通っていた。
このとき周作はすずに一目惚れ。
靴下に刺繍されていた「すず」という名前だけを頼りに数年かけてすずの家を見つけ出した。
そして結婚を申し込んだ。
座敷童
子供のすずがおばあちゃんの家にお墓参りに行ったときに屋根裏から出てきた座敷童。
その正体はリン。
「子供のころは人が食べ残したスイカの皮ばかりかじってた
一度だけ女の子に赤いところをもらって食べたことがある」
と大人リンが思い出を語る場面がある。
おばあちゃんの家は草津にある。
リンの出身も草津。
すずがおばあちゃんちに着物を忘れてきたのは、座敷童へのプレゼント
毎年おばあちゃんが着物を作ってくれる
↓
座敷童にスイカを差し入れようと思ったらいなくなっていた。
おばあちゃん「ここへ置いとったらそのうち食べよるよ」
すず「着物もここへ置いとったら着に来てかねえ?」
↓
帰宅後、おにいちゃん「はあ?着物置いてきたんか?」
げんこつ
傘と柿
周作からの見合い話が来た時のおばあちゃんとの会話。
結婚式の晩にこう聞かれたらこう答えろと教えてくれた。
男「傘を1本持てきたか」
女「はい 新(にい)なのを1本持てきました」
男「さしてもええかいの」
女「どうぞ」
新婚初夜を迎えるときの決まり文句。
地域によっては以下のようなバージョンもある。
男「あんたの家には柿の木あるかいの?」
女「ありますよ」
男「1つもいでもええかいの?」
女「どうぞ」
すずと周作が初夜の前に傘で干し柿を取って食べるシーンは、この柿の話の隠喩。
緊張して結婚式の晩餐にはまったく手を付けなかった周作。
式も終わり親戚も帰り、やっと周作とすずの2人きりに。
いよいよ初夜を迎えるというときに傘と柿のやりとりが始まる。
そんな中、干し柿を食べ始めて少し気が抜け、ほのぼのとした空気に。
キャラメル
周作とすずが初めて出会ったシーン。
人さらいを眠らせた後、晩御飯が無いとかわいそうだとキャラメルを持たせる。
(人さらいは「すず」と「周作」を晩飯だと言っていた)
周作がすずの家に結婚を申し込みに来た日。
おみやげにキャラメルを何箱も持ってくる。
映画のところどころでキャラメルが出てくる。
キャラメルはぜいたくの象徴・幸せの象徴のようなものとして描かれている。
大人リン
リンは字が書けない
お客さんに名札を書いてもらった
お客さんとは周作のこと
周作の家の倉から出て来たお茶碗
りんどうの花柄
周作が嫁に来る人に上げようと買っておいた
周作がリンのことを好きだったことを暗喩
(映画版ではこのあたりの話がカットされていた)
正体不明の黒焦げの遺体
広島への原爆投下後、上長之木の隣保館の脇に座り込んで死んでいた身元不明の黒焦げの遺体。
正体は刈谷さんの息子。
もしも左手に
すずの右手が爆弾で吹き飛ばされ、右手に繋いでいた晴美は死ぬ。
もっと早く気づいて走り出していたら。
もしもあのとき、荷物を右手に、晴美ちゃんを左手につないでいたら。(左右が逆の手だったら)
そう考えて苦悩する。
広島の原爆投下後、左手に小さな娘を連れてさまよう無名の女。
右手は吹き飛ばされガラスの破片が突き刺さっている。
その後、座ったまま女は死に蠅や蛆がたかる。
残された子供は街をさまよう。
すずが落とした海苔巻きを拾い、右手がないすずの姿に母を重ねる。
「すず」と「無名の女」どちらも右手を吹き飛ばされている。
右手につないでいた晴美は死んだ。
左手につないでいた孤児は生き残った。
その後、孤児はすずと周作の家で暮らす。
もしも左手につないでいれば・・・
というifの世界観が垣間見える。
方言、古い言葉、風習
はやる
風で飛ぶ。
海苔を天日干ししているときのセリフ。
コクバ
焚き付け、松の枯葉。
水原さんの代わりに海の絵を描くシーンですずが拾ってるいる。
燃料になる。
電停
路面電車の停車場。
隣組の歌
ドリフ大爆笑のテーマの原曲
配給
ただで食料を配ってくれるわけではない。
配給切符があると購入権があるだけで、お金を払って買う。
瓶搗き(づき)精米
一升瓶に玄米を入れて棒でついて精米する。
配給で回ってくるのは玄米。
各家庭で自力で精米していた。
玄米のまま炊くと膨らまない。
精米して炊いた方が量が増える。
録事(ロクジ)
軍法会議の書記。
周作の役職。
すずは六時に周作が帰ってくるからロクジと呼ばれていると思っていた。
箸を遠く持つ
箸を遠く持つ(根元の方を持つ)と遠くへお嫁に行く
箸を近く持つ(先端の方を持つ)と近くへお嫁に行く
という迷信がある。
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