山北町(やまきたまち)断水、自衛隊給水車の神奈川県による拒否事件

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山北町が断水、自衛隊給水車を神奈川県が追い返す

首都圏を直撃した台風19号。断水が発生した神奈川県山北町で、到着した自衛隊の給水車に、県が「待った」をかけ、水が捨てられるという信じがたい事態が起きた。

日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263282

台風19号の影響で神奈川県山北町(やまきたまち)が12日の夜から断水。

山北町から駒門駐屯地(静岡県御殿場市)の陸上自衛隊に相談したところ、自衛隊の出動には県知事の要請が必要なので、町から県を通して依頼をするように言われます。
そして手続きが終わればすぐに救援活動ができるように給水車を向かわせることになりました。

山北町の防災課から県に依頼をすると、県の担当者はマニュアルに記載されている自衛隊要請の要件を満たしていないの一点張りで、自衛隊へ要請することを拒否します。

これにより13日の午前7時には自衛隊の給水車3台が山北町に到着していたにも関わらず、その水は捨てられてしまいます。
(水が捨てられたという情報は日刊ゲンダイによる捏造の可能性あり)

県が自衛隊とは別で業者に依頼した給水車は13日午後になってようやく山北町に到着。
しかも、自衛隊が用意したのは3台だったのに対して、県が独自に用意した給水車は2台だけ。

マニュアルを盾に現場の声を無視、遅れて到着、給水量もグレードダウンという被災者を無視した神奈川県の対応に不満の声が続出、Twitter(ツイッター)などのSNSで大きく炎上しています。

水は廃棄された?

台風19号の影響で断水被害があった山北町で、到着した陸上自衛隊の給水車が引き返し、県の給水車到着まで約6時間にわたり利用できない事態

神奈川新聞
https://www.kanaloco.jp/article/entry-202290.html

多くのニュースサイトで山北町の自衛隊給水車事件について取り上げていますが、どれも「日刊ゲンダイ」の文章を丸ごと引用したものばかり。

「日刊ゲンダイ」では「水が捨てられた」とありますが、
「神奈川新聞」の記事では陸上自衛隊の給水車は「引き返した」とあります。

水を捨てる意味が分からないので「日刊ゲンダイ」の「水を捨てた」という情報はフェイクニュースではないかと思われます。

ありえるとしたら、自衛隊が
「この水は捨てていくので、捨てた水を誰がどう使おうが我々には関係ありません」
みたいなかっこいいセリフを残して給水タンクを丸ごと置いて立ち去るみたいなパターンでしょうかね。

しかし、それなら山北町から不満は噴出しないと思うので、自衛隊の好意は活かされなかったと考えるのが妥当でしょう。

日刊ゲンダイとは?

日刊ゲンダイとは、株式会社日刊現代が発行するタブロイド紙。
株式会社日刊現代は講談社系の出版社です。

新聞という形態を取ってはいますが、日本新聞協会への加盟を拒否されるなど、記事の信ぴょう性は低いです。
新聞協会非加盟の為、正確には新聞ではなく雑誌です。

「週刊誌」といえば芸能人のゴシップ記事が載る雑誌をイメージすると思います。
日刊ゲンダイの場合は毎日発行されるので「日刊誌」というジャンルになります。
週刊か日刊かの違いだけで、基本的には与太話が多い週刊誌と同系統のものといえるでしょう。

自衛隊の災害派遣要請とは?

自衛隊は、天災地変その他災害に対して人命または財産の保護のため必要があると認められる場合は、都道府県知事等の要請(ただし、特に緊急を要する場合は、要請を待たずに)に基づき、防衛大臣またはその指定する者の命令により派遣され、捜索・救助、水防、医療、防疫、給水、人員や物資の輸送など、様々な災害派遣活動を行います。

Just a moment...

自衛隊法第83条2項では自衛隊の災害派遣について
「都道府県知事、海上保安庁長官や管区海上保安本部長、空港事務所長からの要請に基づいて自衛隊の部隊等が派遣される」ことになています。

たとえば、北朝鮮が日本本土に向けてミサイルを発射した場合など有事の際に自衛隊が基地を離れていては困ります。
そのため、命令が無い限りは自衛隊は勝手に動いてはいけないことになっています。

また、各市町村が個別に自衛隊に連絡を取ると、救助要請の数が自衛隊の処理能力を上回ったり、緊急度がより高い事案が起こった時に既に救援部隊が出払っている可能性があります。
そのため、都道府県単位で要望を取りまとめて救助部隊の配置を適切に振り分けることは、ある程度理にかなったルールといえるでしょう。

近傍派遣とは?

都道府県知事の要請なしで自衛隊が災害救助を行える場合もあります。

「近傍派遣」といって、自衛隊の施設の近傍で災害が発生している場合には部隊長の判断で部隊を派遣することができます。
これは近所づきあいの範囲とされていて、都道府県知事等の要請は必要としません。

今回話題になった山北町と陸上自衛隊駒門駐屯地は20kmほどと比較的近い距離にあり、山北町から自衛隊に直接相談をする程度には普段から交流があるようです。

誰が悪い?

結局、この事件では誰が悪いのでしょうか?

個人的な感想を言わせてもらうと以下のような感じです。

自衛隊:有能
山北町:普通
神奈川県:無能

駒門駐屯地、陸上自衛隊に対する評価

台風翌日の朝7時に給水車3台で駆け付けた陸上自衛隊は有能だといえるでしょう。

欲を言えばルールを無視して水を配給してしまってもよかったのではないかとも思いますが、自衛隊という組織の性質上、規律を重んじなければならないことは十分に理解できます。
正規の手順を踏むように山北町に指示を出しつつも、すぐに給水車を現地入りさせた自衛隊は最大限の努力をしたといえます。

山北町に対する評価

山北町では、

  1. まず自衛隊に相談をし、
  2. 自衛隊から県を通して正式な依頼をするように指示を受け、
  3. 県に自衛隊出動要請を出すように依頼します。

山北町防災課の担当者、もしくは山北町の町長がもっと早い段階で県に給水車を要請していれば、結果は違ったかもしれません。

ニュースソースを見る限りでは、山北町としては12日の段階で自衛隊に相談、13日になってから県に相談しているようなので、12日の段階で県にも連絡を入れておけば、

  • 自衛隊への出動要請が通ったかもしれない
  • 神奈川県が自衛隊への出動要請を拒否しても、代替の給水車がもう少し早く来たかもしれない

しかし、駐屯地近隣の市町村として普段から自衛隊と交流があり、駐屯地が給水車などの設備を保有していることを知っていたのであれば、まず相談する相手として自衛隊を頼るのは無理からぬ話かと思います。

山北町の行動は非難を受けるほどの失策とまではいえないでしょう。

神奈川県に対する評価

自衛隊で給水車が出動し、県でも給水車を手配し、ダブルブッキング状態になったので片方をキャンセルする。
マニュアルに従って、県の手配した給水車を優先、自衛隊の給水車をキャンセル。
これならまあ普通の話でしょう。

問題なのは、以下の2点でしょう。

  1. 自衛隊の給水車は朝7時に現地入りしたのに、県が手配した業者の給水車は午後1時になりようやく現場に到着した
  2. すでに、現場入りしていた自衛隊の給水車を追い返した

県が別途手配した給水車が自衛隊と同等もしくはそれよりも早く現場入りできていれば、自衛隊の救援を断っても不満は生まれなかったでしょう。
しかし、自衛隊へは12日夜の時点で給水車を依頼するかもしれない旨の連絡が入っていて、神奈川県への連絡は13日になってからだったとしたら、給水車の手配が自衛隊より遅くなった点については致し方ないかと思います。

さて、最も問題なのは2つ目、既に現地入りしている自衛隊の給水車をわざわざ追い返した点でしょう。
給水車の手配がバッティングしようが、マニュアルにあろうが、断水に困る人たちを無視して、目の前の水を取り上げる行為は常軌を逸しています。

神奈川県の担当者が、

  1. 自衛隊の給水車が既に出動していることを知らなくて、
  2. 自衛隊に要請するよりも、自分たちで手配した方が早く水を届けられると判断した

のだとしたら、「自衛隊へ出動要請をしない」という判断は結果として悪手だったことになりますが、責めるのは少しかわいそうかなと思います。

神奈川県の担当者が、

  1. 自衛隊の給水車が既に出動していることを知っていたのに、
  2. マニュアルを優先した

のだとしたら神奈川県庁の職員は責められてしかるべきかと思います。

また、自衛隊の出動要請をするのは都道府県知事です。
自衛隊に要請をする・しないの判断を、知事に報告なしで県庁職員だけの権限でを決めることがありえるのか。
神奈川県知事の黒岩祐治氏は事情を知っていたのかもポイントになってくるでしょう。

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