エスカレーターで片側に立つ風潮はいつから始まったのか

この記事は約3分で読めます。

片側空けの歴史

世界で初めてエスカレーターの片側空けが始まったのは、1944年頃、ロンドンの地下鉄駅とされる。その後、欧米各地やアジアに広がった。
日本で片側空けのきっかけとなったのは、1967年頃、大阪・阪急梅田駅での呼びかけだ。右側に立ち、左側を空けるようアナウンスされた。
東京の場合、1980年代末ごろ。新橋駅と東京駅にできていた地下深くへのエスカレーターで、片側空けが自然発生的に起きた。
背景のひとつが、「欧米のマナーを見習おう」という日本人の意識だったと考えられる。読売新聞の記事もロンドン在住経験者の声として、「あのマナーはいい」「急ぐ人に片側を空けるのは合理的」などと記している。国際化が進む中、「外国人に見られても恥ずかしくないマナーを」という価値観が、欧米在住経験者や評論家らによって掲げられた。鉄道事業者側は、歩くことの危険も指摘しているが、片側空けの流れはとまらなかった。

片側空けの地域差

国内では、「大阪は左側空け」「東京は右側空け」とその違いが知られる。ただ、大阪方式は、阪神圏にとどまり、それ以外の地方は東京方式が多い。「国内に取り入れる際は、欧米を見習い、地方が取り入れる際は東京を見習う」という傾向が見て取れる。国民性の表れとも言えるかもしれない。
大阪は「左側を空けるように」というアナウンスがあり、そうなった。一方、自然発生的に始まった東京などでは、「追い越し車線」の右側を空ける。

片側空けの危険性

一方で、1990年代末くらいからは、片側空けをやめようという動きも出てきた。「歩かないで」「手すりにつかまって」などと呼びかけられるようになった。事故などが問題視されたためだ。
一般社団法人「日本エレベーター協会」の資料によると、2018年1月から2019年12月までに発生したエスカレーター事故は1550件。「手すりを持たずに転倒する」「階段の黄色い線から足をはみ出し、挟まれる」「階段上を歩行し、つまずいて転倒する」といった例が多い。
エスカレーターは歩くことを前提としていない。呼びかけにもかかわらず、片側空けがなくならない理由は以下の通り。
エスカレーターの取り扱いについて知られていない。「機械なので、正しく取り扱わないと危険です。エスカレーターは歩くことを前提にしていません」。幅は、手すりを持つために110センチ以下と定められている。もともと片側を歩く十分なスペースはないのだ。つまずきやすい形状でもある。
障害などで右側にしか立てない人がいることが指摘されるようになったのも、最近のことだ。

片側空けは、実は効率が悪い

片側空けは、実は効率が悪いことの理解が進んでいない。右側は空いているのに、左側に長い列ができるという不合理な状態になってしまう。イギリスのロンドンでは、両側で立ち止まった方が効率が良いという検証結果もある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました