日本女子プロ野球機構に所属する選手の半分以上が退団
日本女子プロ野球機構(JWBL)は2009年に設立。
今年で10年目を迎えます。
その10年目という節目の年に事件は起こりました。
日本女子プロ野球機構に所属する71名の選手の内、過半数にあたる36名が退団。
監督・コーチら6名も含めると42名が一斉にリーグを離れることになります。
退団選手一覧
京都フローラ
- 厚ヶ瀬 美姫
- 三原 遥
- 森 若菜
- 大串 桃香
- 中村 茜
- 三輪 裕子
- 小西 美加
- シェー・ユー・イン
- 田中 朋子 (コーチ)
埼玉アストライア
- 田口 紗帆
- 山崎 まり
- 加藤 優
- 一尾 星吏夏
- 磯崎 由加里
- 只埜 榛奈
- 谷山 莉奈
- 泉 由有樹
- 山口 千沙季
- 今井 志穂
- 御山 真悠
- 甲斐田 陽菜
- 太田 あゆみ
- 大山 唯 (監督)
- 山崎 舞 (コーチ)
愛知ディオーネ
- 岩見 香枝
- 前田 桜茄
- 奥村 奈未
- 三浦 由美子
- 海老 悠
- 久保 夏葵
- ヂェン・チー
- 堀田 ありさ
- 松谷 比菜乃
- 里 綾実
- 榊原 梨奈
- 佐藤 千尋
- 碇 美穂子 (監督)
- 大澤 靖子 (コーチ)
レイア
- 石黒 貴美子
- 岡田 桃香
- 青木 悠華
- 川崎 ひかる (コーチ)
レイアは育成枠。
女子プロ野球のリーグ構成は実質3チーム+αといった感じです。
残った選手は4チーム合計でたったの35名
36名の選手が一斉に退団し、残った登録選手は35人。
日本女子プロ野球機構には4つのチームがあるので1チームあたりの人数が9人を割り込みます。
現状の体制では試合すらできない緊急事態です。
一応、来年から登録予定の選手もいるようです。
リーグ創設1年目は130名いた入団テストの参加者たち。
今年の9月に行われた入団テストでは28名が参加しました。
そして、8名の合格者が出ましたが、このごたごたの中すんなり入団できるのかは不明。
「美しすぎる女子プロ野球選手」として有名な加藤優選手や、創設当初からリーグを支えてきた小西美加選手、WBSC女子野球ワールドカップ2018でMVPに輝いた里綾実選手なども退団します。
人気選手・実力派の選手たちがリーグを去る原因の1つには待遇の問題もあるようです。
そのため、年俸を安く抑えられる新人選手は球団側としては歓迎されるでしょう。
選手側が辞退しなければ、おそらく来季からのプロ登録になるものと思われます。
日本の女子プロ野球は実はプロではない?
日本女子プロ野球機構という名前ではありますが、実は「わかさ生活」という会社の子会社のような扱いです。
日本女子プロ野球機構には4つのチームが存在しますが、すべて「わかさ生活」が運営しています。
選手たちはプロを名乗っていますが、実は全員が「わかさ生活」の社員という扱いです。
とある会社の中に野球部が4つあって、対抗試合に観客を入れて興行を行っているといった感じです。
男子のプロ野球とはまったくの別物ですね。
女子プロ野球は経営難だった
年間の運営コストが1球団あたり2億円程度、それに対して売上は1球団あたり5千万円程度。
常に大赤字状態でした。
それらが4球団あり、しかも「わかさ生活」1社で負担している状態。
多少の赤字は広告宣伝費として割り切ることもできますが、「え?日本に女子プロ野球なんてあるの?」というレベルの知名度では、宣伝効果も期待できません。
サイン会を開いたり、グッズを販売したり、選手自身がダンスパフォーマンスを披露したりとアイドル化路線で攻勢をかけようとしましたが、それもあまりうまくいきませんでした。
アイドル化の弊害
集客のため、ファンサービスに力を入れる女子プロ野球。
試合後に選手がダンスを披露したりしていました。
「部活のみんなが文化祭で踊ってみた」みたいな雰囲気ですね。
野球をするためにプロになったのに、裏でダンスの練習をさせられていると思うと、ちょっとかわいそうな気もします。
また、野球の実力よりも顔がかわいい選手や、メディアでの知名度がある選手が優先的に試合で起用される傾向にあったといわれています。
これも、複数の球団でしのぎを削りあう方式ではなく、一社で4球団を独占していることの弊害といえるでしょう。
結局は、勝つことよりも、本社の意向が優先になってしまいますから。
女子プロ野球、来期はどうなる?
選手たちが大量に退団した背景には赤字が膨らみ続ける現在の運営体制にあります。
その点を考えると、球団数を減らして運営コストの削減を目指すのではないかと噂されています。
選手数が半減したので、おそらくチーム数も半分の2球団で行うのが妥当なラインでしょう。
球団数を減らして試合数が減れば年間の観客動員数と入場料収入も減るので、結局赤字になることは変わらない気がしますが。
商業的にはなかなか軌道に乗れない女子プロ野球ですが、全国の高校で片手の指で数えられるくらい希少だった女子野球部が各地で創設されるなど女子野球全体の発展には貢献しています。
やはりプロの存在は競技者にとってはモチベーションの1つになります。
女子プロ野球の今後の発展に期待。
そもそもの知名度がいまいちなので、ネット中継など誰でも気軽に見られる環境でファン層を拡大すればいいのにと思います。
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