「アルバート坊やの実験」とは?

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「アルバート坊やの実験」とは?

「アルバート坊やの実験」とは、心理学者ジョン・ワトソンとその妻ロージャ・レイナーによって行われた古典的条件づけの実験のことを指します。この実験は、赤ん坊のアルバートにおいて恐怖反応を条件づけることを試みたもので、心理学や倫理における重要な研究とされています。

実験の背景

アルバート坊やの実験は、1920年代に行われました。当時、パブロフの犬の実験に基づく条件づけ理論が広く認知されており、ジョン・ワトソンはこの理論を人間の行動にも応用することを試みました。実験は倫理的な問題を含んでおり、現代の観点からは批判されることもあります。

実験の手順

アルバート坊やの実験は以下の手順で行われました。

被験者の選定

実験の被験者は、当時11ヶ月のアルバートという名前の赤ん坊でした。

条件刺激と無条件刺激の提示

アルバートは最初、白いラットを愛でていました。しかし、ラットと同時に大きな音を発生させる金属製の棒を叩く音を鳴らすことで、アルバートは驚き恐怖の反応を示すようになりました。この音が無条件刺激であり、恐怖が自然に生じるものです。

条件づけの試行

次に、アルバートに対してラットを提示し、同時に無条件刺激として音を鳴らすことを繰り返しました。この過程を通じて、ラットが条件刺激として恐怖反応を引き起こすようになりました。

条件刺激の一般化

アルバートがラットに対して恐怖反応を示すようになると、同様の恐怖反応が他の白いものにも広がりました。これを条件刺激の一般化と呼びます。

実験の影響と批判

アルバート坊やの実験は、古典的条件づけの実証例として広く引用されています。この実験によって、新しい刺激(ラット)が恐怖反応を引き起こすようになることが示されました。しかし、この実験は倫理的な問題を含むため、被験者の赤ん坊に対する影響やその後の人生に関する懸念が提起されています。また、実験が設計された時点では倫理的な指針がまだ整備されていなかったこともあり、現代の倫理基準に照らすと疑問視されることがあります。

ジョン・ブローダス・ワトソンとは?

ジョン・ブローダス・ワトソン(John Broadus Watson、1878年 – 1958年)は、アメリカの心理学者であり、行動主義心理学の創始者の一人として知られています。彼は心理学界における重要な影響を持ち、特に学習と行動の研究において大きな貢献をしました。

ワトソンは、実験心理学の分野で初めて動物(主にネズミやウサギ)を用いた行動研究を行ったことで知られています。彼は「行動主義」として知られる心理学的アプローチを提唱しました。行動主義は、心の内的なプロセスではなく、外部の観察可能な行動に焦点を当てる立場で、その影響は大きなものでした。

ワトソンの業績としては、特に以下の点が挙げられます。

アルバート坊やの実験

ワトソンは、クラシカル条件付けを用いて恐怖を獲得する実験を行い、9ヶ月の赤ちゃんにアルバートという名前の子供に対して、最初は恐れなかった白いラットを見せ、同時に鳴り物の音を鳴らすことで、ラットに対する恐怖反応を引き起こすことに成功しました。この実験は、環境の刺激と反応の結びつきが行動を形成することを示すものでした。

反応と刺激の関連性

ワトソンは、行動主義の立場から、行動は環境の刺激との関連性によって形成されると主張しました。彼は感情や思考は行動の一部であり、外部の刺激によって誘発されると述べました。

極限環境の影響

ワトソンは、環境が人間の能力や行動に大きな影響を与えると考えました。彼は環境に適切な刺激を与えることで、人間はさまざまなスキルや行動を学ぶことができると考えました。

しかし、ワトソンは後に不倫のスキャンダルにより学術界を追われることとなり、その後の心理学界への影響は限定的なものとなりました。一方で、彼の業績は行動主義や学習理論の発展に大きな影響を与え、心理学の分野での重要な議論を引き起こすこととなりました。

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