情動の二要因説とは？

情動の二要因説とは？

情動の二要因説は、アメリカの心理学者スタンリー・シャクター（Stanley Schachter）とジェローム・シンガー（Jerome Singer）によって提唱された感情の理論です。この理論は、感情の生起には身体的な生理的反応と認知的な解釈の二つの要因が関与していると主張します。具体的には、身体的な反応が感情の強さを決定する要因であり、その反応の認知的な解釈が感情の種類を決定する要因であるとされています。

身体的な反応

この理論によれば、感情はまず身体的な生理的反応から生じるとされます。外部刺激によって引き起こされた身体的な反応は、自律神経系や内分泌系の活動として現れることがあります。

認知的な解釈

ただし、身体的な反応だけでは感情は完全には説明されないとされます。感情が生じるためには、その身体的な反応についての認知的な解釈が必要です。つまり、個人は自分の身体的な反応を評価・解釈して、それがどの感情に対応するかを理解します。

キーエモション

情動の二要因説では、一般的な身体的な反応は様々な感情で共通しており、それぞれの感情を区別するのはその反応の認知的な解釈です。これを「キーエモション」と呼び、同じ身体的な反応が異なる感情によって異なる解釈を受けることを示しています。

状況の重要性

情動の二要因説は、状況や文脈が感情の解釈に影響を与えることを重視しています。同じ身体的な反応でも、異なる状況下では異なる感情が生じる可能性があるとされます。

情動の二要因説は、感情の生起メカニズムにおいて身体的な反応と認知的な解釈の相互作用を強調し、感情の複雑さを理解するための一つの理論的アプローチとして位置づけられています。